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ニゲラ・ダマスケナってどんな花?
奇妙な花ですが、大変美しいです。

この花ほど、見た目で、人の“感じ方”に相違がある花はないのではないでしょうか。南ヨーロッパ地中海沿岸に原産し、スイスでも南部に生育するこの花は、学名でニゲラ・ダマスケナ(Nigella damascena)と呼ばれます。花(ガク)の色にはブルーやピンク、ホワイト、ライトブルーなどがあります。

日当たりのよい、あるいは半日陰の草地や藪のなかに生育しますが、ちょっと離れたところから見ると、ヤグルマソウか、コスモスのようにも見えます。植物分類上は、キンポウゲ科(ラヌンクルス)の花ですが、花(ガク)の形状より、実をよく観察すると、よりキンポウゲ科の花だな、との理解が深まります。

学名のニゲラは種が黒いから、種小名のダマスケナ(damascena)は、シリアのダマスカスに由来します。種が黒いから和名ではクロタネソウとも呼ばれます。 下の写真は、つぼみと実ですが、花も、つぼみも“カスミ”がかかったように細い小葉で包まれます。スイスには、フュテウマのように❝悪魔の爪❞と呼ばれる大変妖

艶な花がありますが、この花の面白いところは、英語名で、❝霞の中の愛❞(Love in a mist)というロマンティックな名で呼ばれる一方、❝藪の中の悪魔❞(Devil in the bush)とも呼ばれることです。 凡そ、この世の物事には全て二面性があるように、この美しい花も、❝愛❞とも、❝悪魔❞とも呼ばれても不思議ではありません

が、正反対な呼び名がつくのも珍しいです。上の写真は、まだつぼみの状態のものです。つぼみが針のように細い小葉でぐるりと囲まれ、まるでイガ栗のようですね。草丈は30㎝~40㎝くらいのものが多いですが、大きなものでは70~80㎝くらいにもなります。

花が咲き終わると写真のような大きなボール状の実を結びます。この実も花と同様に、網目のような小葉で一面に覆われます。この実の中にはたくさんの種が入っており、ニゲラの名のいわれのように黒色です。種を取っておいて秋に撒けば、また来年芽が出て美しい花を咲かせます。

種はやがて茶色くなってはじけます。

こんな感じでたくさんの美しい花を咲かせます。

花を観賞する際のご注意 2019-1-12

スイスやチロルにはたくさんの美しい高山植物が生育しています。中にはLeontopodium alpinum(エーデルワイス)や、Cypripedium calceolus(アツモリソウの仲間)など、特別保護指定されている植物もたくさんあります。
盗掘はもちろんのこと、ハイキングや写真撮影するときなどに草花を踏みつけたりしないよう、十分気を付けてご観賞ください。
また、ネット上や書籍などで花の生育場所等を詳述してはいけないことになっていますので、このサイトでは生育場所に関する詳細データは敢えて記述していませんので、ご了承ください。