◆ スイスの高山植物の名称 (4)

1.種小名の意味するところ (1)

植物の学名が、属名と種小名から成り立っているということは既に説明しました。
そのうち属名は、下の花でいえば、マンテマ属とかフシグロ属とかいうものですが、それを修飾するように、後ろに種小名がつきます。 この種小名の意味するところを知れば、この花が、どういう花で、主としてどういう場所に生育しているかなどについてのヒントが得られます。
例えば、スイスを旅行していると、よく見られる花に、シレネ・ディオイカ ( Silene dioica 写真下左) とシレネ・ウルガリス (Silene vulgaris 写真下右) があります。
どちらもナデシコ科の花ですが、シレネ・ディオイカの ディオイカ ( dioica )  には “雌雄異株の” という意味があります。
雌雄異株とは、雌雄が株ごとに完全に分かれていて,雌花と雄花が同じ株に着生しないというものです。
また、シレネ・ウルガリスのウルガリス (vulgaris)  は、“普通の” とか “ありふれた”という意味があります。
スイスへ行くと、この花が牧草地や道端などにたくさん咲いているのをご覧になったことがあるかと思います。
雑草のように、どこにでも“普通”に咲いているからこの種小名がついています。 名前がなかなか覚えられない方は、こんな風に覚えるとよいでしょう。