スイスの写真

< 目 次 >
  • 第一章 謎の携帯メール
  • 第二章 紙片と数字2515
  • 第三章 不気味な第二のメール
  • 第四章 カタコンベの秘宝
  • 第五章 ケルト模様の教え
  • 第六章 追ってきたチェゲッテ
  • 第七章 悪魔の橋で悪魔に会う
  • 第八章 

本文はフィクションで実在とは無関係です。

第七章 悪魔の橋で悪魔に会う
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美佐子は、自分は今、どこにいるのだろうか? と考えた。頭の後ろの方が痛く、起き上がろうとすると、少しフラフラするので、また横になった。
ここは泊まっていたホテルの部屋ではないか?ゲッシュネンへ行った自分が、なんでここにいるのだろうか?そうだ、私はあの橋のところで滑って転んだんだ。時間が経つにつれ、だんだんと記憶が蘇ってきた。
そのとき、トン、トンと、部屋のドアをノックする音が聞こえた。
ホテルのオーナー夫妻が入ってきた。そして、「Misakoさん、大丈夫ですか? 頭は痛くない?」 と聞いてきた。美佐子の友人も来てくれていた。
美佐子は 「なんで私はここにいるのでしょうか?」 と聞いた。
すると、奥さんが、ゆっくりとした口調で、話をしてくれた。
~ 美佐子が転んだとき、近くにいた道路工事の作業員が、美佐子の叫び声を聞いて駆けつけた。そして急いで村に運び、医者に見せたら、気を失っているだけだから大丈夫だ、ということだった。それで美佐子が持っていたホテルの傘を見てホテルに連絡し、ここへ連れて来たのだ。~ と。
また美佐子は質問した。「電車も、車も動いていなかったようだったけど、どうやって私はアンデルマットまで帰れたのでしょうか?」 と。 再び、奥さんが、順序だてて説明してくれた。
~ サン・ゴッタルド峠の下には鉄道と自動車のトンネルが通じている。ゲッシュネンにはそのトンネルに入る入口がある。 兵隊さんがその緊急用トンネルを通って連れてきてくれた。その兵隊さんは、美佐子とアンデルマット駅で会ったことがあり、美佐子のことを覚えていた。~ と。
美佐子の旅も、残り3日となってしまった。今回は余りにもいろいろな出来事があったので、最後くらいは、のんびりとハイキングでもしたいと思い、ツェルマットへ行くことにした。
ここからツェルマットへ行くには結構時間がかかるが、グリンデルワルトでもゆっくりできなかったし、スイスへ来て、マッターホルンを見ないで帰るのは、やはり心残りだった。