- 第一章 謎の携帯メール
- 第二章 紙片と数字2515
- 第三章 不気味な第二のメール
- 第四章 カタコンベの秘宝
- 第五章 ケルト模様の教え
- 第六章
- 第七章
- 第八章
本文はフィクションで実在とは無関係です。
本文はフィクションで実在とは無関係です。
「2515 626 627 96 97」 何度考えても、美佐子には何のことか、些とも分からなかった。
まるで、いくら模様をなぞっていっても決して途切れることのないケルトの渦巻き模様のようである。 考えれば考えるほど、謎は深まるばかりである。
ケルトの世界では、「死をもって全てが消失する」 という考えはなく、「死から発して生が生まれる」 といわれるので、発想を逆転させ、試しに数字を逆から読んでみた。 「97 96 627 626 2515」
それでも、何のことかさっぱり分からなかった。
ローザンヌ駅で電車を乗り換え、振り出しのマルティニに戻ったときには、まだ強い西陽が射していた。 スイスの夏場は、夜の9時ぐらいまで明るいので、日本と比べ、時間の感覚がおかしくなる。
頭の方はまだなんとなく重かったが、今日はお昼を食べていなかったので、この時間になると、さすがにお腹が空いてきた。
日本と違い、レストランに入り食事を頼むと、出てくるまで一時間以上かかってしまう。 美佐子は疲れていたので、プラタナスの街路樹が植えてある駅前通りを、ちょっと旧市街(ル・ブール)の方へ向かった。
そして、以前寄ったことのあるマクドナルドでハンバーガーとポム・フリッツを買い、ホテルで食べることにした。 払った金額は10フラン、それにしてもスイスは、なんでこんなに物価が高いのだろう。
翌朝、教会の鐘の音で目が覚めると、ホテルの5階の窓から、旧市街の奥に、朝陽に照らされた山並みが美しかった。 そして右手の小高い丘の上には13世紀に築城されたバディアズ城の古塔がくっきりと見えた。
今朝は、昨晩よく眠れたので頭痛もおさまり、気分もすっきりしていた。
今日はお天気がよいから、早めにチェックアウトして、山でも行ってみよう、と、カーテンを閉め、窓際から離れようとすると、下の駐車場に赤い車が停車し、二人の男女がホテルの方に向かって歩いてくるのが見えた。