- 第一章 謎の携帯メール
- 第二章 紙片と数字2515
- 第三章 不気味な第二のメール
- 第四章 カタコンベの秘宝
- 第五章 ケルト模様の教え
- 第六章
- 第七章
- 第八章
本文はフィクションで実在とは無関係です。
本文はフィクションで実在とは無関係です。
空想の世界に思いを馳せていた美佐子は、慌てて後ろを振り返った。 そしてガラスケースに映った “影” の角度と距離から目測した視野の中に、急ぎ足で出口の方へ消えていく、二人の男女の後ろ姿を見た。
まさかこんなところまでは、と思いつつも、急ぎ、後を追って出口の方へ行くと、博物館前の駐車場から、赤い車が急発進して出ていった。
首を傾げながら戻ってきた美佐子に向かって、グループの一人が 「何かあったのか?」 と聞いた。 美佐子は 「いえ、なんでもありません。 ちょっと知り合いに似た人がいたので・・・」 と答えた。
続いて 「これから、どうする? アウグスト・ラウリカは行ったことがあるか? そこも大変面白いから行ってみたらどうだ」 といった。
アウグストは、美佐子は前に3回ほど行ったことがあった。 それにいまは、マルティニのホテルに荷物を置いてあるので、 「もう一度、マルティニへ戻らなければならない」 といった。
グループの人たちは、「それならマルティニにあるガロ・ロマン博物館へ行ったらいいのではないか? きっと美佐子も気に入るよ」 といった。
もちろん、そこへも何度か行ったことがあったが、「明日、時間があったら、行ってみる」 と答えた。
「そうか、それじゃ、ここの路線バスは便数が少ないので、ヌシャーテル駅まで送ってあげるよ」 とグループの人たちはいい、美佐子はその言葉に甘えて観光バスに乗せてもらい、駅へ向かった。
そして駅前で、皆にお礼を言って別れると、また一人になり、忘れていた嫌なことが思い出された。
電車は空いていた。帰宅時間前だったので、車両には数人の乗客しか乗っていなかった。マルティニまではローザンヌ乗換えで1時間半である。
斜向かいの席では中年の婦人が、置いてあった新聞の裏に載っているパズルを夢中になってやっている。 美佐子は思い出したようにテーブルを引き出し、紙片に書かれた5個の数字を順番に並べてみた。