- 第一章 謎の携帯メール
- 第二章 紙片と数字2515
- 第三章 不気味な第二のメール
- 第四章 カタコンベの秘宝
- 第五章 ケルト模様の教え
- 第六章
- 第七章
- 第八章
本文はフィクションで実在とは無関係です。
本文はフィクションで実在とは無関係です。
近年になり、このヌシャーテル湖畔一帯から、先史時代や紀元前500年頃の遺跡がたくさん発掘されている。そのため、ここには、それらの貴重な発掘物などを展示するラテニウム考古学博物館が建設された。
地中海沿岸諸国には遅れたものの、アルプスの北側では紀元前700年頃になると、それまでの青銅器文化が幕を閉じ、鉄器時代に入った。そしてオーストリアのザルツブルグでは、”塩の道”としてもよく知られるケルト人によるハルシュタット文化が栄え、それに遅れること数百年後には、このヌシャーテル湖畔で、ラ・テーヌ文化が華(はな)開いたのであった。
博物館の中には、当時の生活用具である農具や馬具、装飾品、木の舟、植物の種など、価値ある発掘物がたくさん展示されている。
歴史が好きな人にとっては、どれを見ても目を見張るようなものばかりだ。
また博物館の前には、ゆったりとスペースが取られた緑の公園が設けられており、先史時代の「高床式住居」が再現されていたり、発掘された木舟(カヌー)の模型などが展示されている。
と、そのとき、近くにあるお土産屋さんから、見覚えのある人たちが出てきた。そして、「あぁ~、Misakoさん、気がついた?大丈夫?」 といって近づいてきた。サン・モーリス修道院で会ったグループの人たちだった。サン・モーリス修道院では、いくら待っても美佐子が来ないので、心配したガイドが、すぐパネルの展示してある部屋まで、探しに戻った、という。そして、穴の中に半分落っこちかけて倒れていた美佐子を見つけた。美佐子は滑り落ちた際、頭を強く打ち、気を失ってしまっていたらしいが、背負っていたザックが引っかかって、穴の下までは落ちなかった。
幸にも、このグループは高齢者が多かったので、医者が随行していた。その医者がすぐ診察すると、軽い脳震盪を起こしているようだった、という。そして、医者が声をかけると、少し意識が回復したのか、微かな声で “ラテニウムに行きたい” と、呟いたそうだ。グループはこの後、ラテニウム博物館へ戻る予定にしていたので、一緒にバスで連れてきた、という。