スイスの写真

< 目 次 >
  • 第一章 謎の携帯メール
  • 第二章 紙片と数字2515
  • 第三章 不気味な第二のメール
  • 第四章 カタコンベの秘宝
  • 第五章 ケルト模様の教え
  • 第六章 
  • 第七章 
  • 第八章 

本文はフィクションで実在とは無関係です。

第五章 ケルト模様の教え
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あれからどのくらいの時間が経ったのだろうか?気がつくと、美佐子は木造りのカヌーが置いてある海岸に横たわっていた。
サン・モーリス修道院の中で、足を滑らせ、穴の中へ落ちてしまったところまでは記憶にあるのだが、その先のことはよく思い出せない。
両の手のひらは、何かに引っかかれたように血がにじみ出て、両膝にも何箇所か切り傷があった。身体も動かそうとすると、あちこちが痛い。それに頭がぼわ~んとしてしまっていて、なんとも気分が冴えない。
仕方がないので美佐子は、遠くを、ぼ~、と見ながら、そこに、しばらく横になっていた。幸い、眩しいほどの夏の強い日差しが、美佐子にだんだんと元気を取り戻させてくれた。そして気分がよくなるにつれ、それまで、すっかり海岸だと思っていた、この“海岸”は、どこかの湖畔ではないか、と思えてきた。
美佐子は起き上がって、辺りを歩き回ると、ここはヌシャーテル湖畔にあるオートリーブのラテニウム(考古学博物館)だ、ということが分かった。
そばに、再現された先史時代:ケルト人の高床式住居が見えたからだ。
美佐子はヨーロッパ大陸におけるケルト人の文化に大変興味があり、いままでにも、何度か、ここへ来たことがあった。
ただ、何で、いま自分がここにいるのか、さっぱり分からなかった。
今年も旅の帰りがけに、ここへ寄ってみようとは思っていたのだが・・・。
そしてポケットの中に手を突っ込むと、サン・モーリス修道院で、ガイドからもらった英文のパンフレットが二つ折りにして入っていた。美佐子はそのことは思い出せた。ガイドからそれをもらったとき、辺りが暗かったので、後でゆっくり見ようと、自分でポケットに入れていたのだ。
かったるそうに、中を開くと、はらり、と、また小さな紙片が落ちてきた。見ると、そこには数字で 「97」 と書かれていた。
これで、数字の書かれた紙切れは全部で5枚になった。2515 626 627 96 97 は一体、何を意味するのだろうか?