スイスの写真

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  • 第一章 謎の携帯メール
  • 第二章 紙片と数字2515
  • 第三章 不気味な第二のメール
  • 第四章 
  • 第五章 
  • 第六章 
  • 第七章 
  • 第八章 

本文はフィクションで実在とは無関係です。

第三章 不気味な第二のメール
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列車はインターラーケン・オストの駅に着いた。グリンデルワルトへはここで乗り換えて、さらに40分ぐらいかかる。
乗り継ぎ時間がちょっとあったので、美佐子は駅前のスーパーに行き、パンと、ちょっと大き目のパックに入った牛乳、そしてリンゴとオレンジを一つずつ買った。今日は朝、家を出るときにパンとコーヒーを口にしてきただけだったので、さすがにお腹が空いてきた。
この駅の周辺は、普段はザックを背負った日本人や中国人、韓国人などでいっぱいになるのだが、さすがにこの時間になると大きなグループはいなかった。今日はきっと山の天気が悪かったのだろう、それでもインターラーケンなどに買い物に来て、これからグリンデルワルトに帰ろうとする若者たちが5~6人いた。美佐子は地下道をくぐり 「2-B」 の乗り場へ行った。
そして階段を上がると、ホームにはすでに電車が入っていた。
ドアーの開閉ボタンを押して車両に入いり、疲れたので、すぐ入口近くの座席に座った。そしてパンと牛乳を取り出し、口にした。
電車はゴトン、ゴトン、ゴトンと、心地よい音を残し、ヴィルダースヴィル、ツヴァイリッチネンへと軽快に走った。そしてここでしばらく停車、車両の切り離しを行い、前部はラウターブルンネンへ、後部車両はグリンデルワルトへ向かって再び走りだした。
電車はさっきまでの軽快な音に変わって、時折、キキッキー、キキッキーといった金属音をたてながら急勾配を上りはじめた。
この道は、美佐子は過去に何度も通っているので、周りの景色を見るだけで、もうすぐグリンデルワルトが近い、と分かった。右手に今晩泊まる予定のホテルの屋根が見えてきたからだ。
今日はなんて長い一日だったのだろう、と、美佐子は思った。
翌朝、目を覚ますと目の前にはアイガー、左手にはヴェッターホルンの頂が朝陽に照らされて美しく輝いていた。このホテルは値段もよいが、景観も素晴らしい。朝食を済ませると、駅にスーツケースを引き取りに出掛けた。