- 第一章 謎の携帯メール
- 第二章 紙片と数字2515
- 第三章 不気味な第二のメール
- 第四章
- 第五章
- 第六章
- 第七章
- 第八章
本文はフィクションで実在とは無関係です。
本文はフィクションで実在とは無関係です。
「やっと着きましたね。飛行機の中ではよく眠れましたか?」 と、その人はいった。美佐子はドキッとして、恐る恐る声のした方を振り返えると、見覚えのある顔で、ほっと、した。N'EXで一緒になった中年の夫婦だった。
そして、「私たちはもう年なので、今晩はオエリコン駅近くのホテルに一泊します。 そして、明日の朝早くにツェルマットに向かいます」 といい、
「あなたは、どちらまで行かれるのですか?」 と聞いた。
美佐子は 「私は今晩グリンデルワルトにホテルを取っていますので、このまま電車に乗ってそちらへ向かいます」 と答えた。
そしてほとんど同時に、「それでは、お気をつけて」 といい、お互いに軽く頭を下げて別れた。
美佐子は機内誌に書かれた、「空港に着いたらメールを見ろ!」 という文言が頭にこびりついていて、気が気ではなかった。
恐る恐るメールを開くと、差出人のないメールがまた届いていた。
美佐子は旅先から母親によく電話をするので、今年から海外からも連絡がとれる便利な国際対応の電話に変えたばかりだった。そして、そのことを知っているのは、母親と、仲の良い友達、数人だけのはずだった。
メールを開くと、「スーツケースは明日の朝9時の電車でグリンデルワルトに着く。そうしたら、すぐピックアップして、サン・モーリスへ向かえ」「このことを誰かに告げたら、ただではすまないぞ!」 と書いてあった。
美佐子は空港に着いたら電話で母に相談してみようと思っていたが、メールの男?女?が、あまりにもよくこちらの動きをつかんでいるようなので、怖くなって諦めた。
だが、飛行機が思ったより早く着いたので、紙片に書かれた数字が再度電話番号ではないかと思い、試しに 2515 626 627 を回してみた。しかし案の定、つながらなかった。やっぱりダメか、と思って、携帯をハンドバッグにしまおうとするとき、びっくりするような音で、着メロが鳴った。