- 第一章 謎の携帯メール
- 第二章 紙片と数字2515
- 第三章 不気味な第二のメール
- 第四章
- 第五章
- 第六章
- 第七章
- 第八章
本文はフィクションで実在とは無関係です。
本文はフィクションで実在とは無関係です。
今度はテーブルを出し、その上に冊子を置き、初めから注意深く一枚、一枚ページをめくっていった。すると今度は “626” と書かれた小さな紙切れが表紙と2ページ目の間から出てきた。さらに3ページ、4ページと繰っていくと、5ページ目あたりに “627” と書かれた紙切れが挟まっていた。
この機誌はページ数が少ない。そして最後のページには誌面に直接、「また連絡する。空港へ着いたら、メールを見ろ」
と、マジックで書かれていた。
“2515 626 627” この数字は一体何を意味するのだろうか?
美佐子は三枚の紙切れを横に並べて、続けて読んでみた。
どこかの電話番号かな?でも、それにしては桁数がちょっと変な気もする。そうだ、もしかしたら局番が抜けているんだ、と思い、バッグを開け、予約してある今日の宿泊ホテルの電話番号と見比べてみた。
しかし、どう組み合わせし直しても、電話番号のようにはみえなかった。
美佐子は機内誌に、三枚の紙切れを挟み、それを持って自分の席に戻ろうと、立ち上がった。 そして2~3歩歩き始めて、チラッと、サングラスの男の方に目をやると、その席には男の姿はなかった。
あっちの人はどうだろう? と思い、見ると、サングラスを掛けて窓側の席に座っていた女の姿も同じように消えていた。目を離したのは、ほんの数分のことだったのに薄気味の悪い二人の男女が同時にいなくなるなんて・・・と、美佐子は自分が何か大きな組織ぐるみの事件に巻き込まれているような感じがして、ぞくぞくっ、と身震いした。
フライトインフォメーションによると、飛行機はウラル山脈を越え、サンクトぺテルベルクの上空を飛んでいる。ここからチューリッヒ空港まではあと3時間ほどである。ここまで来ると、いつもなら、「あぁ~、もう少しだ」 と、ほっとするところであるが、美佐子はとんでもないことに巻き込まれてしまった、と、憂鬱な気分になった。今回はたくさんの高山植物を見たい一心で旅立ったのに、と嘆いた。