アローザの村の概要については、すでにVolume1で述べたのでこのページでは詳しい説明は避けたい。
インナー・アローザ （Inner-Arosa） の山の中腹には木造の教会がある。小さな教会なので、中に腰掛けられる人数は５０人程度であるが、夏の夜にはミニコンサートが開かれる。決して有名な演奏家などが来るわけではないが、家庭的でのんびりと見聞きできる。（ただ、ちょっと入場料が高いのが玉に瑕。しかし、旅先のこと、寄付金込み値段ぐらいに考えればいいだろう・・・）
コンサートが終わって、夜道で振り返れば、ほんのりとライトアップされた教会が幻想的で大変美しい。

ヴァイスホルンからヘルンリホルンへのハイキングコースは前回案内済みなので、今回はその続きとなるヘルンリホルンからパルパナーヴァイスホルンの裏側をグルッと周り、アルプリゼー、シュワリゼーの二つの湖を巡ってインナー・アローザへ戻ってくるコースをご紹介する。
ヴァイスホルン（2653ｍ）、ヘルンリホルン（2513ｍ）は頂上にも緑の草地が多いが、このパルパナーヴァイスホルン（2824ｍ）とお隣のパルパナーロートホルン（2861ｍ）、さらに隣のパルパナーロートホルン（2980ｍ）は、岩山が裂けて崩れ落ちた裂石で覆われる。

ハイキングコースは小型キャビンの発着駅前、ヘルンリホルンの山小屋レストランの下の標識に従って下っていく。下り始めてしばらく行くと、右に緩く下る道がある。この道は美しいウルデンゼー（Urdensee）を経由してTschiertschenの村へとつづき、さらに下っていけば、クールから電車でアローザに上がってくる途中駅にでることもできる。そして、そこから電車に乗って戻ってくるのも面白いコースだ。ただし、歩行距離は長い。
こちらのコースを行くのは本題と外れるので次回案内することにして、時間があればこの湖までピストンで行って帰ってこよう。１時間ぐらいあればで十分往復できるから。

下り坂を降りきると、あとは写真上のようなハイキング道を歩いていく。若干のアップダウンはあるが比較的歩きやすい。
実は前日もこの同じコースを歩いたのだが、雨降りと霧で視界は５ｍぐらい、残念ながらほとんど周りが見えなかった。これではスイスの山をハイキングしていても、霧の深い箱根辺りを歩いていても同じではないか・・。その上寒いこと、寒いこと、手がかじかむほどの寒さのなか、文字通り五里霧中してハイキング（？）した。
一転して今日は朝から快晴、雲ひとつない中を昨日のリベンジで再びこのコースを歩いている。ただ、この年の夏は６月頃から異常な暑さ、多くの高山植物はすでに咲き終わり、山はもう秋の気配。それでもアキレア・ナナやカンパニュラ、サクシフラガの群落が大変美しい。＊この年・・・2003年夏

岩山と、草や高山植物が咲く限界点辺りにつけられた両側が荒れた道を進むと、やがて緩い上り坂になり、上がりきったところに分岐がある。左へ行けば一気に２００ｍぐらい直登してヴァイスホルンの裏側に出る、まっすぐ行けば巻き道となる。
裏側まで行くと、マウンテンバイク用のコースもあり、幅が広くて歩き易い。時間があればロートホルンに寄っても良いだろう。
その分岐を左に大きく巻くように曲がれば、裂石がいっぱい敷かれた広場に出て、その先にアルプリゼーなど二つの湖を経由してインナー・アローザに下る道がある。後はこの谷あいの長い下り道を黙々と歩き続けることになる。　

川を右手に見ながら下ると、やがてエルツホルンへ登る上級者コースの青いコース案内板があるので、そこを越えればアルプリゼーはもうすぐ先だ。
そして湖の上の道を少し登り、階段のある道を下ればもう一つの湖・シュワリゼーに出る。どちらも美しい湖なのでぜひ小休止して眺めていこう。
また、この辺りは山の斜面が全部アルペンローゼで埋め尽くされており、開花時期には山が燃えるような濃いピンクで染まることだろう。あとは小川を二つ渡り、キャビンのロープの下を通り、教会の方向に歩いて行けば素敵なホテルや別荘地のある村にでる。そこを抜ければバス通りに出るので近くのバス停からバスに乗り、ホテルに帰ればよい。

ハイキングコース脇にはたくさんの高山植物が咲いている。左上の花はカンパニュラとサクシフラガ・アイゾイデス。
右上の写真はアローザの村を周回するバス。宿泊ホテルが発行してくれるデポジット型のパスカードを提示すれば乗り放題で、結構便利である。

■コースタイム　（ゆっくり歩いて）
ヘルンリホルン ～ ２時間 ～ パルパナーヴァイスホルン ～１時間半 ～Alplisee ～１時間 ～ Schwellisee ～１時間 ～ インナー・アローザバス停

■補足情報
トップページの「ハイキングコース案内」にもこの地の案内（Volume1）があるので、そちらも併せてご覧願いたい。