ゴールドグラバードルフ(Goldgräberdorf)の写真

ハイリゲンブルート~ツィルムゼーハイキング

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1 今朝の天気予報は、晴れ後、雨と雹です。
ドロマイト(苦灰石)地層で有名なドロミテからハイリゲンブルートに入ってきて、残念ながら雨ばかりの毎日です。
今日も雨が降り出す前にハイキングに行こうと、時間短縮のためナショナルパークワンダーバスをコールして、ハイリゲンブルートからゴールドグラバードルフ(Goldgräberdorf)へ急ぎました。
下の写真は宿泊ホテルのダイニングの壁に描かれた絵画です。グロスグロクナーをバックにアルプス三名花が描かれています。
アルプス三名花の写真
2 小型のワゴンバスではフランス人女性4人のハイカーグループと相乗りとなリました。料金は1人3.9euroです。
今回のハイキングの目的は、美しい山上湖であるツィルムゼー(Zirmsee 2,495m)を訪ねる往復コースです。
ただ、このところ毎日午後になると雷が鳴り、激しい雨や雹が降ってきます。果たして行って来られるかどうか微妙なところです。
ナショナルパークワンダーバスの写真
3 Goldgräberdorfの直ぐ側にはアルターポーチャー(Alter Pocher)という昔の金採掘村があります。実は、ホーエ・タウエルンという地域は金の採掘場所としても有名なところです。
ここフライスタール(Fleisstal)では先史時代に既に金が発見されていたともいわれますが、16世紀〜17世紀のローマ時代にホーエ・タウエルン川から金が採掘されゴールドラッシュとなりました。
ゴールドグラバードルフ(Goldgräberdorf)の写真
4 そして21世紀の初頭に、ここは金鉱体験ができるリクレーションセンターとして整備されました。 金鉱や鉱石、当時使っていた工具や鍛冶屋、溶鉱炉などが野外博物館として展示・公開されています。また、鉱山の見学ルートなどもつくられています。
ここは時間があったら帰路にゆっくり見学することにして、早速、アルターポーチャーから歩き始めます。
アルターポーチャーの写真
5 上の写真はアルペンガストホフ・アルターポーチャー(Alpengasthof Alter Pocher)です。
宿泊設備があるとともに、飲食もできますので夏休みの頃は子供連れのファミリーで賑わいます。
アルターポーチャーのすぐ側には道標があり、ツィルムゼーまで2時間半とあります。
ツィルムゼーへの道標の写真
6 歩き始めるとすぐに、キンポウゲやワスレナグサ、ヤナギランなどが一面に咲く開けた草原に出ます。
ただ残念ながら今日はお天気がよくありませんので、山の方はクリアーには見えません。
ハイキングの写真
7 草原にはポツンポツンと大きなアザミ(キルシウム・エリオフォルム)が一際高く咲いており、その中の気持ちの良いハイキングコースを歩いていきます。
20分くらい歩くとやがてカラマツ林の中に入り、登りが急にキツくなってきます。
コース上には木の根っこや岩が剥き出しになっていて、それが雨水に濡れて大変滑りやすくなっています。
ハイキングの写真
8 左手が高い岩壁となる狭いコースを20分ほど進むと、岩と岩の隙間にエーデルワイスが可憐な花を咲かせています。
高い場所に咲いていて、望遠レンズも持ってないし、光線が逆光なのであまりよく撮れません。
エーデルワイスはスイスやチロルの山に入れば、いやというほど見られますが、群生しているよりこういう場所に咲いてる方がよく似合います。
瞬間的に青空が現れ、期待を持たせますが、すぐに黒い雲が張り出し、上書きされてしまいます。
ハイキングの写真
9 カラマツ林を抜けてさらに登ると、今度は大きな岩や石がゴロゴロとしている川沿いの道を歩きます。奥深いフライスタールに流れるクラインフライスバッハ(川)を横切り、さらにゼーバッハ(川)の沢を渡って登っていきます。
ハイキングの写真
10 岩ばかりの登山道に出て、あと数回折れて急登を登ればツィルムゼーが見えてくるところまでやって来るや、またまた不気味な雷鳴が聞こえてきます。雨も降り出し、雷鳴もどんどん近づいてきます。
急ぎカメラをザックにしまい、撤退です。 ハイキングの写真
11 やはり花の撮影に夢中になり、大分時間をロスしてしまったようです。
花も愛でず、写真も撮らず、ひたすら先を急ぐフランス人パーティ―は、きっともう湖に着いていることでしょう。
近くに隠れる場所のない高山の岩場で雷が鳴ると本当に怖いです。そのうえ、追い打ちをかけるように雨も激しく大粒になり、とても止む気配はありません。転ばぬよう注意して、急ぎ下山です。
ハイキングの写真

12 Alter Pocherの小屋に着き、びしょ濡れになった衣服を着替え、ティーとカフェで小休止とします。
小屋に入るとご主人が、「大変だったね」「ここのところ毎日午後になるとこんな天気なんだよ」「少し休んで乾かしていくといいよ」といってアコーディオンを弾いてくれました。
しばらく休憩して野外博物館を見学します。
アルターポーチャー(Alter Pocher)の写真
アルターポーチャー(Alter Pocher)の写真
13 野外博物館の中には、金鉱での一連の工程を説明するこのような案内板がいくつか設置されています。これはSchmelzhütte(精錬所)の説明です。
Schmelzhutteの説明板の写真
14 採掘した鉱石です。山の上の鉱脈から掘り出した鉱石は近くの作業所で処理され、袋に詰めパレットに入れて小舟でツィルムゼーの東岸から西岸へ運ばれます。
そして運び出しやすいように雪の積もる冬までそこに貯蔵され、アルターポッチャーヘ下ろされます。
鉱石の写真
鉱石の写真
15 あたかも"Salzburg mills" などのような水車小屋で、職人によって泥の中から金を抽出する融合過程です。
水車の写真
水車の写真
16 使い古したスレッジハンマーなどを修理するSmithy(鍛冶屋)です。
鍛冶屋の写真
鍛冶屋の写真
17 雨はまだ降っていますが、大分小降りになってきました。一通り野外博物館内を見学して外へ出てくると、往きに相乗りしたフランス人女性パーティーが戻ってきました。
やはりツィルムゼーまでは届かず、危険なので下山したといいます。Bonne dècision!
帰路にはタクシーを呼んでいませんので、単調な長いダラダラ坂をひたすらハイリゲンブルートに向けて歩きます。
1時間以上歩いたでしょうか。雨はまだ降っていますが、雷鳴がだんだん遠のいていきます。

18 このコースは高山植物が大変豊富です。
帰路は雨が強く降ってきましたので、ほとんど写真が撮れませんでした。そのいくつかをご紹介します。
レオントポディウム・アルピヌムの写真
レオントポディウム・アルピヌム ディアントゥス・カルトゥシアノルムの写真
ディアントゥス・カルトゥシアノルム ヒエラキウム・インティバケウムの写真
ヒエラキウム・インティバケウム キルシウム・エリオフォルムの写真
キルシウム・エリオフォルム ゲンティアナ・カンペストリスの写真
ゲンティアナ・カンペストリス

18 このコースは、あまり寄り道をしなければ、ツィルムゼーまで往復6~7時間くらいですので、お天気さえ良ければ楽しいハイキングとなるでしょう。

【所要時間】
◆ アルターポーチャー~ツィルムゼー下 3時間
◆ ツィルムゼー下~ハイリゲンブルート 3時間半
◆ 食事や休憩などを入れて6時間半くらいです。


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