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イヴェルドン・レ・バン(Yverdon-les-Bains)の町はヌシャーテル湖の西南端(Lac de Neuchâtel)にあり、首都ベルンからは一回乗り換えで1時間10分程度で行くことができます。
町の名の一部に、仏語で「風呂」の意味を持つ「Bains」がついていますので、すでにお気づきだと思いますが、この地は紀元前から浴場として存在し、今でもスイス有数の温泉リゾート地になっています。
下の写真は落ち着いた色合いを使った瀟洒な建物のイヴェルドン・レ・バン駅です。
2 ヨーロッパ鉄器時代の後半に花開いたラテーヌ(La Tène)文化遺跡がヌシャーテル湖畔北部で発見されたことでも分かるように、この辺りには前5世紀ごろから前1世紀にかけて騎馬民族ケルト人が生活していました。
そんな古い歴史を持つイヴェルドンは時を経てサヴォワ家(Maison de Savoie)の支配下にはいり、町と城は1260年にピエール2世により建設されました。
3 各地にある多くのお城と同様に、当初は町を守るための要塞であったとともにフランス・イタリア・ドイツへ行くルートとしての交通の要衝でもありました。
またこの地の領主の館としても使われていました。しかし、いまは教育者ペスタロッチ(Johann Heinrich Pestalozzi=ペスタロッツィ)の記念館や歴史・郷土博物館、ファッション博物館などとして利用されています。
4 要塞というと通常は険しい山の上や断崖の上に建つお城を想像しますが、このイヴェルドン・レ・バン城は平地にあり、長方形の四隅に円柱型の塔を持つ典型的なサヴォワ・スタイルです。
晴れた日には、お城の前にテーブルと椅子が置かれ、たくさんの人たちがお茶を飲んだり談笑をしたりしています。
5 この町もお城も、残念ながら先にグランソンの町でも触れたブルゴーニュ戦争で大きく破壊されてしまいました。
そのため写真は18世紀に再建された市庁舎(Ville d'Yverdon-les-Bains)とペスタロッチ広場(Place Pestalozzi)です。
ここの旧市街には再建されてはいるものの18・19世紀の建物がたくさん並んでいます。
また、この町(自治体)は過去にワッカー賞も受賞しています。
6 写真はペスタロッチ広場に面したParoisse d'Yverdon-Temple/改革派教会です。中世の教会を前身として18世紀に建てられたものです。
よく目立つ黄色い建物で、ヌシャーテル湖畔で採石された黄色い石をつかっており、バロック様式で造られています。また鐘楼は、かつての教会の名残で15/16世紀まで遡っています。
7 この教会の中には1766年につくられたと言われるパイプオルガンが残されていて、このオルガンを使ったコンサートも開催されています。
8 イタリア系の家系を持ちチューリッヒで生まれたペスタロッチは、イヴェルドン・レ・バン城に学校を設けました。ブローシャーなどによると、ペスタロッチは路上で物乞いをしていた少年たちに衣食を与え教育を施したと書かれています。
写真はペスタロッチ広場に建つ教育実践家のペスタロッチと子供たちの銅像です。
9 アルトシュタット(旧市街)に延びるフール通りやラック通り、ミリュー通り沿いには美しい18世紀の建物がたくさん見られます。
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