ティーフェンバッハグレッチャー　～　フェント　ハイキング

ティーフェンバッハグレッチャーに行くには、オーバーグルグル村などがあるエッツタールのセルデン村から氷河道路を抜けるバスに乗ります。バスはぐんぐん高度をあげ、やがて氷河が眼前に迫るレッテンバッハグレッチャーに到着します。

トンネルを抜けるとティーフェンバッハグレッチャーのバス停に到着します。駐車場の横からティーフェンバッハ展望台へ上がるテレキャビンが発着していますので、お天気が良く、時間に余裕があったらハイキングの前にぜひ寄ってみよう。

ティーフェンバッハ展望台はムートコーゲルやティーフェンバッハコーゲルなど3,300mを超える山々に連なる場所にありますので展望は抜群です。ただし営業期間が限定的なので、ここが目的の場合は事前チェックを忘れずにして下さい。

フェントへ下るハイキングコースはこの道標があるところから左手へ下って行きます。チロルでも人気コースの一つなので多くのハイカーが歩いています。ここからの景色はとても素晴らしいので、歩き始める前にみな展望を楽しんでいます。

ここからは若干のアップダウンがあるものの、展望のよい緩い下り坂が続きます。コース幅はそれほど広くありませんが、良く整備されていて歩きやすいです。ただ７月も早い時期にはコース上にまだ結構残雪があります。

大きな岩がゴロゴロしていますが、緩い下り坂なのでのんびり歩いていきましょう。前方には雪を抱いた山並みが望め、足元には可愛らしいソルダネラやプリムラなどの高山植物が咲いています。まさにコース名通りの「PanoramaWeg」です。

左下がりの斜面を下って行きます。今日は2010年の7月中旬ですが、ところどころに残雪があります。このコースは数回歩いていますが、以前６月に歩いた年はかなりの残雪がありました。この先ではヒツジさんがのんびり草を食んでいます。

ヒツジのほかにも、ところどころにマーモットの巣窟があり、姿は見えぬものの独特な鳴き声が聞こえてきます。前方にはザイタ―カール（SeiterKar）と呼ばれる荒れたカールが広がります。このコースは全線を通じて土壌が赤茶色です。

カールには線を描いたようにハイキングコースが続いています。しばらくコースは単調ですが、前方にはシミラウンなど雪を抱いた美しい山並みが望めますので、展望は抜群です。このカール上の道をトラバースしていきます。

こちらがのんびり高山植物や山の写真を撮っていると、たぶん一台後のバス便で到着したパーティーでしょう、次々と追い抜かれました。このグループとは次のヴァイスカールでまた一緒になりました。コースは再び緩い登りとなります。

緩い上り坂を上がりきると、このコース最大の見どころであるヴァイサ―コーゲル（3407m）が間近に見えてきます。温暖化で大分後退してしまいましたが、青い空に真っ白なヴァイスカールグレッチャーが映えてとても美しいです。

さらに進むとヴァイサーコーゲルの全容が眼前にものすごい迫力で現れます。ヴァイサーコーゲルを中心に、ヴァイスカール氷河、左にはヴァイスカールコーゲル、右にはムートコーゲルなど3000m級の山々にぐるりと囲まれています。

ガレ場の緩い坂を下って来るとヴァイスカール（Weisskar 2656m）に出ます。ここは、このコースのちょうど半分くらいに位置します。道標が立っており、フェントへ2時間、スタートしたティーフェンバッハグレッチャーへ2時間です。

ヴァイスカールにはヴァイスカール氷河から流れ落ちて出来た小さな水溜まりのような池があります。見上げればヴァイスカール氷河が美しく見え小休止するにはもってこいの場所です。多くのハイカーが昼食を取ったり日光浴を楽しんでいます。

美しいヴァイスカールで小休止したらフェントに向けて出発しましょう。すぐに先ほどの池から流れ出ているヴァイスカールバッハ川を渡ります。そして、このコースの名物である一枚岩の大きな岩の脇を抜けていきます。

ヴァイスカールコーゲルの稜線を越えると視界はぱっと開け、再び荒れたカールが広がります。右上からはヴァイスカールコーゲル（2996m）が迫っています。コースは緩いアップダウンがあるもののほぼフラット、よく残雪がある箇所です。

大きな岩がゴロゴロとしているガレ場を越えていきます。写真のようにちょっとの間、石でステップを切ったような登りが続きます。展望は素晴らしいのですが、すぐに急降下しますので、つんのめって転ばないよう気をつけましょう。

急な下り坂を過ぎると三方向へ向けた道標が出てきます。一方はブレスラウアーヒュッテへ２時間、もう一方は目指すフェント、そしてもう一方は歩き始めたティーフェンバッハグレッチャーです。ここからは村を目印に下って行きましょう。

この辺りは標高や土壌が植物の生育に適した環境になってきましたので、コース沿いには色とりどりの高山植物が咲いています。写真はフェンタータールを俯瞰しています。右手前が谷の最奥のフェント村、左上の方がセルデンに続く道です。

前方に村が望めても、なかなか着かなかったフェントへの道もここまで下ってくればゴールはもうすぐそこです。フェントの村は、昔イタリアからヒツジとともに峠越えをしてきた先人たちが、帰らず、そのまま村を形成したといわれています。

フェントの村に近づくと、ハイキングコースの左下方に玉ねぎ型をした塔を持つバロック様式の教会（Jakobus Church）が見えてきます。村へはもう10分足らずです。また、村の一角からチェアリフトでStable山上駅にも上がれます。

フェントは登山基地やイタリアへの交易地としてもよく知られています。オーストリア第二位の高峰ヴィルトシュピッツェやシミラウン登山のベースにもなっています。素敵なホテルレストランもありますのでバスを待つ間一服していきましょう。

そして時間があったらコースを下ってくるとき下方に見えた美しい教会まで行ってみましょう。この近くには小さいながら観光案内所もありますので、フェント近辺でのハイキング計画を練るための情報収集をしておくとよいでしょう。

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Tiefenbachgretscher ～ Vent　Hiking

　　　　　　　　　＜　コース概要　＞
このハイキングコースを歩くには、まずエッツタールにあるセルデン村から❝氷河バス❞に乗り、終点のティーフェンバッハグレッチャー（氷河）まで行きます。そしてそこからフェント谷に沿って西側斜面をフェント村までハイキングをしていきます。
コースは若干のアップダウンがあるものの、ほぼ緩い下りで展望は非常に良く、お天気さえ良ければ安心して歩くことができます。またコース上では色とりどりの高山植物が観賞できます。所要時間は約４時間です。

Similaun

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シミラウンは、1991年に氷河の中から5300年前の男性ミイラ（アイスマン ❝エッツィ❞）が発見されたことで一躍有名になった山です。
また、毎年初夏になるとイタリアからたくさんのヒツジが羊飼いに連れられてチロル側にやって来て、秋には再びイタリアに帰る、その峠越えのルートとしてもよく知られます。

Rettenbachgletscher

Mutborden

Sonnberg

Stablein

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