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1 今回のハイキングコースのご紹介は、チロル地方の高級リゾート地レッヒにあるシュテッフィスアルペ(Steffisalpe 1884m ) ~ ブュルステック(Bürstegg) ~ ボーデンアルペ(Bodenalpe)へと歩く、所要時間約3時間のハイキングです。
写真下はサンクト・アントンにある教会です。
2 今日はいつものようにスイスのチューリッヒから、快適なÖBBの国際列車レイルジェットでオーストリアに入ってきました。
今回の主な訪問地はマイヤーホーフェンなど、ツィラータール方面ですのでレッヒには宿泊せず、サンクト・アントンに宿を取り、駅前からバスに乗りレッヒへ向かいます。
写真は村の中心に流れる清流レッヒ川です。
3 下の写真は、レッヒ川にかかる屋根付きの古い木造橋タンベルクブリック(Tannbergbrücke)です。1665年に建造され、その後数度リニューアルされています。
4 村の中心にレッヒ川が流れる、とても美しい高級避暑地レッヒに到着したら、ポストオフィス前から3番:Warth(ヴァルト)方面行きのバスに乗ります。
今朝は早い出発で昼食を準備してこなかったので、Steffisalpe Warthのバス停の側にあるレストランに立ち寄り、民族衣装を着た背の高い女性にテイクアウト用のサンドウィッチをつくってもらい、ハイキングスタートです。
5 始めに、レストランのすぐ近くから発着しているシュテッフィスアルプバーンの4人乗りリフトで、1884mの山頂駅まで上ります。
6 上に上がると、お天気は悪く、大粒の雨が降ってきました。スイスでの滞在の2週間を含め、雨に降られるのは今回の旅で初めてのことです。
この年の旅では幸いにも晴れの日が多かったので雨は久しぶりです。
リフトの駅前で急ぎ雨具を身に着け、歩き出します。
7 目の前には、たくさんの牛が草を食んでいます。リフトを降りると北方向の山の上に教会のような形をした岩:SpitzigerSteinRockが見えますので、目的地であるブュルステックへ向かう前に、まずそちらに寄って行くことにします。
8 道標が指す方向は、ヒュッテのあるPunschhütte(Hochalphütte 1950m)です。
先行していたたくさんのハイカーが、急に雨が降ってきたので、リフト山頂駅の方向に急ぎ戻っていきます。
9 道は歩きやすい緩い登りです。高山植物が群生する道を30分ほど歩けば岩のところに着きます。
この岩がちょうど教会のように見えたのです。
また、そのすぐそばには小さな湖があり、湖畔にはリナントゥスやエンツィアンなどの高山植物が群生していて大変美しいです。
10 ここから左方向に進んで行けばヒュッテHochalphütteの前へ出ます。この頃には雨も止み、薄日がさしてきました。時間があればこのヒュッテへ寄って行くのもよいでしょう。
11 今回の目的地は反対方向のブュルステックですから、いま来た道をシュテッフィスアルペバーンのリフト乗り場まで戻り、ヴァルターホルン(Wartherhorn 2256m)を巻くようにブュルステックへ向かいます。
道標にはブュルステックまで1時間半とあります。
なお、ここからヴァルタ―ホルンを経て固定ロープの張られたカ―ルホルンの稜線を歩くコースもあります。
12 ここから先は進行方向左手下方にレッヒの谷を見て、また右手にはスイスのアイガートレイルのミニ版のように、カールホルン(Karhorn 2416m)の壁を見ながら緩い坂を下って行きます。
13 近くに道標があり、左に折れれば、ヴァンネンコプフ(Wannenkopf 1941m) の斜面を1時間でWarthへと下る分岐があります。
ここではそのまま山を巻くように右手にコースをとりますが、近辺にちょうどよい休憩場所がありましたので、ここで昼食を取ることにし、買ってきたサンドイッチを食べます。
14 そして、向かい側のちょっと高まったところに小さな湖(Wannensee)があると道標にありましたので、そこへ行ってみます。
2分くらい登ると、確かにそこにはワタスゲが一面に咲く美しい小さな池がありました。
再び元のコースに戻り、カールホルンを右手に巻くように下っていきます。
岩陰には胃腸薬としての薬効もあるゲンティアナ・ルテアが咲いています。
15 15分ほど歩くと、左手のなだらかな山の斜面にはリナントゥスが一面に咲き、辺りが真っ黄色に染まっています。
リナントゥスは決して珍しい花ではありませんが、あまりのスケールの大きさにお花畑の写真を何枚も撮ってしまいます。
16 そして牛囲いの柵を開け、のんびりした牧草地を行けば、やがて前方に小さく教会の塔が見えてきます。
17 ここからは道が急に細くなり、雨や雪解け水でえぐられた岩がゴロゴロしていて大変歩き難いです。しかし、コース両側には美しい高山植物がたくさん咲いていますので、写真を撮るのに忙しいです。
右手山側から小川がちょろちょろ流れ落ちる道を、さらに15分ほど下ればやがて小さな湿地帯に出ます。
18 ここでは牛が高山植物に埋もれるようにして横になっています。
そして二人の女性ハイカーが、花に埋もれた牛の写真を撮っています。
またこの辺りには紅紫色をしたキケルビタ・アルピナが群生しており、とても美しいです。
19 そして目の前の小高い丘を少し登り返せば、教会が現れます。
教会のすぐ側には500年以上も経つ古い木造の家があり、今日はその側の小屋で若者たちがバーベキューを楽しんでいます。
20 500年以上経つ古い木造の家の裏には道標があり、ボーデンアルペのバス停まで40分と書いてあります。
21 教会の建つ小高い丘を降り、振り返り見る教会がとても美しいです。さらに教会から300mくらい行ったところに道標があり、ここを左に折れて、リナントゥスが一面に咲くお花畑を抜け、ボーデンアルペへ向かいます。
22 教会の近くで出会った女性ハイカーはレースフラワー、ハクサンフウロ、アザミ、タンポポなど色とりどりの高山植物が咲き乱れる道を、一足先にルンルン気分で下って行きます。
23 キケルビタ・アルピナは、決して珍しい花ではありませんが、鮮やかな緑を地の色にして、黄色いキンポウゲに混じって一面に咲き、その高貴なパープルいろは、とても美しく、印象的です。
24 そして、すぐ近くの丘の上からは、古い教会が静かに見下ろしています。
このロマンティックな光景に感動して、随分前にこのサイトの中の「つぶやき欄」で、こんなことを書きました。
“もう今では鳴らぬ鐘の音に、時を知る術を失った花たちは、昇る朝陽に目を覚まし、虫の声に夕を知り、祈り続けていることでしょう。‟…と。
25 さらに途中からハイキング用のWanderwegに入り、急坂を一気に下れば、バス停のすぐ前に出てきます。
道路の反対側にはレストラン(ガストハウス・ボーデンアルペ)もあります。残念ながら、ここでは一服する間もなくすぐにバスが来ました。
途中、早足で女性ハイカーに追い抜かれましたが、きっと、このバスに間に合わせようと急いで下っていったのでしょう。
ここからレッヒまでは、もうバスで10分ほどです。
そしてこの日はレッヒでバスを乗り変え、宿泊先のサンクト・アントンに帰ります。
【所要時間】
◆ シュテッフィスアルペ~シュタインロック~ブュルステック 2時間
◆ ブュルステック~ ボーデンアルペ 1時間
◆ 景色や高山植物を愛でながらゆっくり歩き、食事や休憩時間などを入れても所要時間は3時間くらいです。
(注)ボーデンアルペからレッヒへ戻るバスの時刻表ついては予め十分チェックしておいてください。
もしバスに乗り遅れても、レッヒまでは歩いて1時間ほどです。
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