【はじめに】ドイツの文豪ゲーテがイタリアへ旅した時、このフィーアヴァルトシュテッテ湖を船で渡りました。そして、その経験談を劇作家シラーに語り、戯曲「ウイリアム・テル」が生まれました。
上の地図の青いNEXTボタンをタップすれば、各村の船着き場の写真がご覧になれます。
1 毎日どんよりとした天気が続き鬱陶しかった冬も過ぎ、里山にはタンポポやサクラが美しく咲く5月となりました。
前日はルツェルンからクルーズ船に乗ってフィーアバルトシュテッテ湖を遊覧しました。そして今日はフリューエレンの定宿を出発し、再び遊覧船に乗り、スイス建国の地と言われるリュトリに渡ります。さらに上の地図にある通り赤い点線に沿ってバウエン村までのんびりと初夏のハイキングを楽しみます。
2 遠くに雪山を眺めながら真っ青な湖面を滑るように走る遊覧船のミニクルーズを楽しんでいると、シュヴィーツ、ウーリ、ウンターヴァルデンの原初三州(注)が、詩人で劇作家のフリードリヒ・フォン・シラーに贈ったというオベリスク「シラーシュタイン」が見えてきます。
(注)原初三州…この地域に勢力を伸ばしてきたハプスブルク家に対抗してシュヴィーツ、ウーリ、ウンターヴァルデンの代表が1291年8月1日リュトリに集まり「誓約同盟」を結んだ。この三州が現在のスイス連邦の核となっている。
3 写真はテルスプラッテ(Tellsplatte)にあるウイリアム・テルの記念堂です。
ここはテルが舟で代官の居城に連れていかれる途中、嵐のような激しい雨風を利用して舟から乗り移って逃げた場所であるとされています。
4 やがて目的地のリュトリの船着き場に到着します。素朴な小さな船着き場ですが、途中にあったテル礼拝堂(Tellskapelle)などとともに、しばしウイリアム・テルの戯曲の舞台に飛び込んだような雰囲気が味わえます。
ここで下船し、緩い坂を登って行きます。
バウエンまでの気持ちの良いミニハイキングのスタートです。
5 すぐそばには道標があり、リュトリの丘まで10分、ゼーリスベルク・オーバードルフまで1時間25分、バウエンまでは3時間15分とあります。
このコースは標高が低く、ほとんどフラットなので春から初夏にかけてのんびり歩くのにぴったりです。
6 歩き始めるとすぐにリュトリ・メモ(RÜTLI-MEMO)という小さな展示館があります。
入場無料ですので中に入ってみると、スイス建国の歴史をセクションごとにまとめたパネルがたくさん展示されています。
7 さらに緩い坂道を登っていくと、前方の丘の上にスイス国旗がはためいています。ここはスイス建国の地と言われ、先述の「誓約同盟」を交わしたところです。
また、近くには船着き場、リュトリメモ、リュトリハウス、三州の泉、バーベキュースペースなどのミニ周回コースがイラスト案内板で紹介されています。この日は小さな子連れファミリーが楽しそうに遊んでいました。
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春から初夏にかけてこの辺りの牧草地にはタンポポの花が一面に咲いています。また遠くに見える雪山を背景に可愛らしい羊さんたちがのんびりと草を食んでいます。
9 リュトリを出発して、のんびり1時間余り歩くとトライプ/ゼーリスベルク(Treib Seelisberg Bahn)鉄道駅の前に出てきます。
トライプ湖畔駅からゼーリスベルク頂上駅(標高766m)へは7~8分ほどで結ぶケーブルカーが走っています。
10 さらに進むと立派な聖ミヒャエルカトリック教会(Parish Church of St.Michael)が見えてきます。教会の中には美しいステンドグラスとキリストの物語が描かれています。
また、その先にはホテル・テル(HOTEL TELL)が見えます。
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ここからは低山から亜高山帯に咲く高山植物が咲き乱れます。タンポポ、キンポウゲ、ワスレナグサ、フウロ、シレネ、カルダミネなどが一面に咲くのどかな道を歩きます。
遠くには雪山が聳え、眼下には美しいフィーアヴァルトシュテッテ湖が広がります。
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タンポポが一面に咲く牧草地でのんびり草を食む牛さんの親子です。
この辺りの牧草地に座って湖を眺めていると、時折遊覧船が行き交います。
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さらに、春から初夏にかけてはサクラの花が咲く道をのんびりと歩いていきます。
右を見ても左を見てもタンポポ、キンポウゲ、ワスレナグサ、シレネディオイカなど色とりどりの花が咲き乱れています。まさに春爛漫という感じです。
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写真は‟小さな城”と呼ばれるベロルディンガー(Schlosschen Beroldingen)貴族の先祖代々の居城です。ゼーリスベルクオーバードルフの村からバウエンに向かう途中にある湖のそばにあります。聖ローレンティウスに捧げられた1545年の礼拝堂は一見の価値があります。
その下の写真はベロルディンガー城について説明した案内板です。
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ベロルディンガー城(標高864m)のすぐそばのところに道標があります。リュトリをスタートしてここまで約2時間です。
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この辺りから見る雪山と湖の景色は素晴らしいのですが、気温上昇とともに少し山並みがぼやけてきてしまいました。
17 しばし美しい湖を眺めていると、ちょうど遊覧船がたくさんの観光客を乗せて通り過ぎていきます。
18 バウエン村に近づてくると湖を望む美しい場所にネオバロック様式の聖イダ教会(Römisch-katholische Kirche St.Idda)が見えてきます。
景観が素晴らしいのでここで結婚式を挙げるカップルが多いようです。
中に入ってみると、聖イダ像、聖アンナ像などがあり、天井には1812年にジョセフ・アントン・メスマーによって描かれたクリスマスの大きな絵があります。
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下の写真は、現在のスイス国歌である‟スイスの賛歌‟を作曲したアルベルヒ・ツヴィシグ(Alberich Zwyssig)の胸像です。
アルベルヒ・ツヴィシグは、ここウーリ州のバウエンで生まれました。
その下の写真はホテル・ガストハウス/ツヴィシグハウスです。
【所要時間】
◆ リュトリ~バウエン 3時間半
◆ 晴れていれば展望が良く、高山植物もたくさん見られます。きっと美しい写真がたくさん撮れることでしょう。
景色を楽しみながらゆっくり歩き、食事や休憩時間などを入れても4時間くらいみておけば大丈夫です。
(注)ただし、バウエンから遊覧船で戻るなら事前に十分時刻表をチェックしておくのを忘れないでください。バスも走っています。
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