1 ここでご紹介するヴィル ( Wil = ウィル) の町は「都市開発を進めるとともに歴史的な建造物や風景は重要な文化財として保護推進していくこと」を目的に設立されたスイス文化財保護協会から、1984年にプリックス・ワッカー賞(Le Prix Wakker)を受賞しています。
2 ワッカー賞は、文化や建造物の保護に寄与した市町村に与えられるもので、過去にシュタイン・アム・ラインやグアルダ、エルネンなど50カ所ほどの市町村が受章しています。
3 スイス東部に位置するヴィルの町は、ザンクトガレン州に属し、チューリッヒから電車や車で僅か30分くらいで行くことができます。
ちょうどヴィンタートゥールとザンクトガレンの中間ぐらいに位置します。
この町については既に当サイトの「あの町、この町、日が暮れて」のヴィルの町の項でご紹介済みですので、そちらも合わせてご覧ください。
4 ヴィルの駅前から歩き始め、両側にブティックやカフェなどが建ち並ぶ広いショッピングストリート(Obere Bahnhofstrasse)を10分ほど進むと素晴らしいアルト・シュタット(Altstadt = 旧市街)に通じます。
そして緩い坂を登り、城壁のように建ち並ぶ建物の下に造られたアーチ型の石造りの門を潜ると、そこには目を見張るような美しい旧市街が現れます。(写真上)
5 ヴィルの旧市街はそれほど大きくありませんが、旧市街に建つビルの壁面には美しい壁画がたくさん描かれています。
それぞれの壁画には歴史的、宗教的なストーリーが描かれていますので、一つひとつゆっくり鑑賞するとよいでしょう。
6 下の写真は裁判所(Berichtshaus)のファサードですが、ヴィル市のシンボルであるクマの絵が描かれたワッペン(紋章)などがいろいろと描かれていて、見ているだけでもとても楽しくなります。
7 この裁判所の建物は1607年に建築され、1950年にリニューアルされたと記されています。
また時計が設置されたところには素敵な絵が描かれています。
その隣には階段状のうだつもどきの屋根が美しいです。一方、一部の窓ガラスにはこんな美しいデザインが施されています。
8 教会(キルヒ)通りのなかほどには聖ニコラウス教会が建っています。
教会内にも入れますので、美しいステンドグラスや壁に描かれた絵も見ていきましょう。
9 下の写真は旧市街から一旦外へ出て、隣接する市民の憩いの場にもなっている公園の方から眺めたところです。少し高まったところに城壁のようにグルっと家々が建ち並んでいます。
スイスの中でも最も保存状態が良いといわれるこの旧市街は、ここから見るのが一番美しいと思います。
10 時は春から初夏へと移り行く5月です。池からは噴水が勢いよく吹き上げ、池のほとりにはキンポウゲの花が満開です。