ヨウラクユリは高山植物ではありませんが、英国を始め、ヨーロッパ各地の庭園や公園などによく植えられていますので、ご覧になった方も多いのではないでしょうか。
学名ではFritillaria imperialis(フリティラリア・インペリアリス)といい、原産地は一般的にトルコといわれていますが、ヨーロッパのいろいろな文献で調べてみますと、どうやらペルシア(イラン)の方が正しいようです。
和名ではヨウラクユリと呼ばれ、漢字では「瓔珞百合」と書き、「瓔珞」は頭・首・胸などに掛ける装身具や仏像などの装飾を意味します。
また、英名ではCrown imperialと呼ばれ、文字通り“皇帝の冠”という意味ですが、その豪華で格調高い外観からも、なんとなくそんな気がしてきます。
ユリ科のバイモ属で、日本の山で見られる高山植物のクロユリや、庭先によく植栽されているバイモ(貝母)などと同じ仲間です。
この花にはいろいろな言い伝えや民話がありますが、シェイクスピアの戯曲「冬物語」の第四幕第4場、パーディタとフロリゼルの会話の中にも出てきます。
上田敏氏の訳では、ヨウラクユリは “編笠早百合”、福原麟太郎/岡本靖正氏の本では“王冠草”と訳されています。
Daffodils, that come before the swallow dares,
and take the winds of March with beauty;
~途中略~
Bold oxlips and the crown imperial;
Lilies of all kinds, ~以下略~
燕も来ぬに水仙花、大寒こさむ三月の
風にもめげぬ凛々しさよ。 ~途中略~
それにひきかへ九輪草、編笠早百合気がつよい。
百合もいろいろあるなかに、 ~以下略~
(上田敏訳)
戻る→