植物の分類法が大きく変わってきています。
例えば、これまでゴマノハグサ科に分類されていたウェロニカ(Veronica クワガタソウ属。イヌノフグリなど。 写真)や、ジギタリス(Digitalis ジギタリス属 写真)などがオオバコ科に移動されています。
よく知られていますように生物の分類を体系的にまとめたのはスウェーデン生まれのリンネ(注1)ですが、博物学者、生物学者、植物学者であったリンネは、生物の学名を「属名」と「種小名」の2語のラテン語で表す二名法(または二命名法)を体系づけました。
(注1)カール・フォン・リンネ(Carl von Linne)ラテン語はカロルス・リンネウスCarolus Linnaeus。
その後、似たもの同士は近い血縁関係にあるという類似性を基にした系統分類学へと変化し、日本では主としてドイツのエングラー(Adorf Engler)などが提唱した「新エングラー植物分類体系」が採用されました。
また、世界では「クロンキストの植物分類体系」(Arthur Cronquist)が広く採用されてきました。
しかし、近年(1990年代)になってAPG(注2)が登場し、DNAの塩基配列を用いたAPG分類を進
め、植物分類も従来の形態的(花弁や雄しべの数など花の構造をマクロで見る)な特徴を中心とした分類体系とは大きく様相が違ってきています。
これらの研究により、例えば従来の分類でのゴマノハグサ科は、実際はさまざまな系統からなる寄り合い所帯ということが明らかになり、いくつかの属は他の科へ移動したり、独立した科になったりしています。
このほかにもたくさんありますが、シクラメンがサクラソウ科からヤブコウジ科へ移されたり、クマツヅラ科のムラサキシキブ属がシソ科へ移されています。
(注2)APG(Angiosperm Phylogeny Group)はDNA解析と呼ばれる分子レベルの解析によって被子植物群の近縁関係を調べ、分類体系をまとめようと集まった研究者グループで、2016年には「APG Ⅳ」を公表しています。
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