私の好きな作家である五木寛之さんの小説に「水中花」というのがあります。この作品は、もう30年以上も前のことですが、松坂慶子、船越英二、近藤正臣などが出演し、TBSでテレビドラマ化もされました。
その主題歌「愛の水中花」は、五木さん自身が作詞し、松坂慶子が歌いましたが、大変流行ました。
写真は増水により湖面が上昇し湖水の中で咲くエウフォルビア(トウダイグサ)です。
通常年なら、水のない湖畔に、草丈1mくらいの茎を伸ばして咲いているのですが、この年は、春に大雪が降り、大量の雪融け水が湖に流れ込んだことから湖面が急上昇し、そっくり沈んでしまいました。
ここはスイスの南部ティチーノ州ピオラにあるリトム湖です。もともとはスイス国鉄が所有する水力発電用のダム湖でしたが、いまはその使命を終えています。
陸に生えていた花が水中に埋もれてしまうような水量の増加は10年に一度くらいの割合で起こるのですが、あと1~2日くらいでダムに貯まった水を放水しないと大変危険な状態になっています。
放水したときの流水の勢いは、それはそれはものすごい迫力で、いつもは、微かにせせらぐ程度の小川が、一気に草木をなぎ倒し、土砂を下流に押し流す急流となって流れ出します。
そして静寂な小村に、この時だけは、けたたましい警報サイレンが鳴り響きます。戻る→