リューの村の写真

スイスの秘境を訪ねる旅
ミュスタイアにある聖ヨハネ・バプティスト修道院

1 オーバーエンガディン地方とウンターエンガディン地方の境い目くらいのところにツェルネッツ(Zernetz)という町があります。
今回はそこからPTTバスに乗ってイタリアのメラノ(Merano/Meran)方向に1時間ほど行ったところにあるスイスの秘境「ミュスタイアの村」を訪ねます。
聖ヨハネ・バプティスト派修道院の写真
2 ここは "秘境" といっても電気が通じていないとか、徒歩でなければ行かれないようなところ、というわけではなく、鉄道がなくバス便しかないため、ただアプローチが悪いというだけです。
秘境どころか中世には、交通の要所と位置づけられていた所なのです。
ですから秘境なんて言ったら住民から怒られてしまいそうです。
日本でも、いまではすっかり有名になり、日本人観光客もF.I.Tやツアーなどで大勢訪れています。
聖ヨハネ・バプティスト派修道院の写真
3 ここには8世紀にフランク王朝のカール大帝の命によって建てられた聖ヨハネ・バプティスト派修道院があります。
1983年には、「ザンクトガレンの修道院付属図書館と修道院地区」「ベルンの旧市街」とともにスイスにおける最初のユネスコ世界遺産として登録されています。
見どころはたくさんありますが、何と言っても美しい建物とともに、修道院内のアプスに描かれた歴史的価値ある美しいフレスコ画でしょう。
聖ヨハネ・バプティスト派修道院の写真
4 下の写真の絵は、よく知られたヘロデ王とヘロディア、そしてその娘(サロメでは?とも言われている)のストーリーを描いたものですが、ヘロディアの娘が王に洗礼者ヨハネの首を所望して、お盆の上に載せてもらっている場面です。
中央アプスに描かれたものですが、このほかにも色鮮やかなフレスコがたくさん描かれており、隣接した博物館とともに、見逃せない見どころのひとつになっています。
ヘロデ王とヘロディア、そしてその娘の写真
5 前にも述べたとおり、ミュスタイアの聖ヨハネ・バプティスト修道院へはPTTバスでツェルネッツから乗り換えなしで行かれます。
しかし今日は途中のフルデーラ(Fuldera)の村であえて降り、バスを乗り換えて近くにある美しいリュー(Lü)の村へ寄っていくことにします。
それは街道を行くのではなく、展望の良い山道をハイキングしながらミュスタイアの村を訪ねたいためです。
ミュスタイアの谷のマップ
6 リューの村はヨーロッパで一番標高が高い村といわれており、その表示板が村の入り口に立っています。
また、村の中心には美しい教会や観光案内所を併設した小さなレストランもあります。
この村の見どころは何といっても、目の前に広がる牧歌的な風景です。
放牧され、のんびりと草を食む牛さんたち、雪を抱いた山並みなどを見ていると、心が癒されます。
リューの村の教会の写真 7 美しいリューの村を楽しんだら、すぐ近くに立つ道標に従って左手に折れ、緩い山の斜面を登っていきましょう。ここからミュスタイアの村までは3時間15分とあります。
ハイキングコースは歩きやすい道で危険はありません。また、右手下方にはミュスタイアへ続くバス道路(街道)が走っていますので、疲れたら街道沿いにあるヴァルチャヴァやサンタ・マリアの村に下り、再びバスに乗っていってもよいでしょう。
道標の写真
8 ここからは美しく黄葉したカラマツ林の中を尾根伝いにハイキングしながらミュスタイアの村を目指します。
今日は朝からお天気がよいのでハイカーも気持ちよさそうに歩いています。
ハイキングの写真

9 しばらく右手に雪をかぶったピッツ・ドラ(Piz Dora 2,951m)やピッツ・テュレタス(Piz Turettas 2,963m)山を見て、黄葉が美しいカラマツ林の中を行けば、やがてウルシャイ(Urschai 2,007m)に出ます。
そこに立つ道標には、右:クライスタス50分、左:ミュスタイア2時間15分とあります。
ここはハイキングだけでなくマウンテンバイク用のコースにもなっています。
道標の写真
10 そして、車が通れるくらい広くて歩きやすい道を15分ほど歩き、木々の間から雪山が見え隠れするカラマツ林を何度か通り抜けると、パッと開けた展望の良い道に出ます。
ここからしばらくは美しい山並みをずっと右手に見ながら歩く贅沢なハイキングコースが続き、次のチェックポイントであるアルプ・ソット(Alp Sot 2,053m)を目指して歩いていきます。
カラマツ林の写真
ハイキングの写真
11 やがて道は開けた緩い下り坂となり、しばらく進むと右カーブの先にクライスタス(Craistas 1,877m)の村が見えてきます。
民家が20軒ほどある小さな集落ですが、この辺りは舗装道路になっていて、ここからヴァルチャヴァの村へ下る道も伸びています。
クライスタス(Craistas 1,877m)の村の写真
クライスタス(Craistas 1,877m)の道標の写真
12 この集落の中をぐるっと通り抜け、さらに進めば道沿いに一軒の民家があり、その横に立つ道標に従って、庭先から再び細い山道に入ります。
そしてプッチャイ(Pütchai)の先で川を渡って展望の良い山腹に出れば、遠くにイタリアの村が見えてきます。
同時に右手下方には可愛らしいサンタ・マリア(Sta.Maria)の村が見え、ここから村へ下る道が伸びています。
さらにミュスタイアの谷を右手に見ながら林の中に入ったり、出たりしながら30分ほど歩けば小川の前に出ます。
民家の写真
13 そして古い小さな木の橋を渡り、あとは下に見えるミュスタイアの村を目指して道なりに下れば、村はずれにある小さな教会の前に出てきます。
このあたりの道沿いや、ちょっと入った横道には美しいスグラフィートが描かれた家がたくさん見られます。
小さな教会の写真
スグラフィートの写真
14 見晴らしの良いハイキング道から下を見ると、聖ヨハネ・バプティスト修道院を中心にしてミュスタイアの村が広がっています。
この後、下の街道に出て左に10分ほど歩けば目的地の聖ヨハネ・バプティスト派修道院です。
ミュスタイアの村の写真

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