1 下の写真はスイスのティチーノ州にあるロカルノの町よりチメッタ展望台に上り、マジョーレ湖(Lago Maggiore)を望んだものです。
チメッタ展望台は標高1,671mのところにあり、ケーブルカーとロープウェイ、チェアリフトを乗り継いでいけば手軽に行くことができます。
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ここは晴れていれば大変展望が良いので観光客の人気の高いコースになっています。
三角州のように湖岸から張り出しているところはアスコナ周辺の町です。
アスコナといえば毎年ジャズ・フェスティバルが開催されていることでもよく知られています。
またアスコナの背後の丘はモンテ・ヴェリタ(真理の山)と呼ばれ、自然への復帰を目的にした菜食主義者のコロニーが作られていて、ヘルマン・ヘッセやカール・ユングなどの著名人も訪れています。
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マジョーレ湖は大半がイタリア領ですが、ブリッサーゴ(Brissago)、ゲラ(Gerra)の先を結ぶ北部4分の1ほどがスイス領となっています。
下のマップではロカルノなど赤色の点線より上の部分です。
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この湖はノーベル文学賞受賞のアーネスト・ミラー・ヘミングウェイの名編「武器よさらば」のなかにも登場します。
時は第一次世界大戦の最中、イタリア兵に志願したアメリカ人の主人公:フレデリック・ヘンリーは、入隊したイタリア軍の実態があまりにも自分のイメージしていたものとかけ離れていることに幻滅していました。
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そんな中、戦場で負傷したフレデリックはイギリス人看護婦キャサリン・バークレイと出会い、二人は深く愛するようになりました。
やがてキャサリンの妊娠がわかり、二人はこのマジョーレ湖畔イタリアのストレーザからボートに乗り、沿岸警備艇の監視を逃れ、ルイーノ、カノービオを経てスイスのブリッサーゴへ越境します。
6 この様子を小説のなかでは、真っ暗闇に大きな雨傘をヨットの帆のようにして風を受け、必死にボートを漕ぐさまが目に浮かぶように描かれ、読者に切迫感と感動を与えます。
そして、やっと無事スイスのモントルーで幸せな生活に入るも束の間、生まれてくる赤ちゃんは死産し、彼女も大量の出血で死んでしまうという結末。
なんという悲しい終わり方なのでしょう!
そして全てが終わってしまった夜、フレデリックは独り雨の中をホテルへ戻っていくのです…。
小説と映画では大分内容が違いますが、やはり戦争により引き起こされた悲劇を題材にして反戦を訴えた最高傑作ですね。
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