ヴェルザスカの谷のローマ橋(めがね橋)の写真

スイスの秘境を訪ねる旅
ヴェルザスカの谷のローマ橋

1 2006年に山と渓谷社より"のんびりゆったり" 「スイスの秘境を訪ねる旅」というガイドブックを出版しました。
このガイドブックは ❝スイスの秘境❞ を個人レベルの旅行でも安心して旅ができるよう、できるだけ分かりやすく、読み物形式にしてまとめたものです。
ヴェルザスカの谷のローマ橋の写真
2 この執筆に当たっては、昭和40年代中頃からスイスの各地を訪れ、いつかガイドブックとして出版し、マイナーな地ながらもう一つの素晴らしいスイスを多くの方に知ってもらいたい、と考えて出版したものです。
そんな強い愛着と思い入れがありましたので、このガイドブックは、情報収集から写真、文、編集、マップ、装丁まで全て自分でつくりました。

3 ここに取り上げたヴェルザスカの谷 (Valle Verzasca) を始め、ロカルノ周辺に広がる他の谷やチェントバリーの谷 (Valle Centovalli) などには、大昔から春・夏・秋にわたって何度も足を運んでいます。
その度に、グリンデルワルトやツェルマットなどのメジャーな観光地とはまた一味違う美しい季節の移り変わりも目にすることができました。
ヴェルザスカ川の写真
4 さて、表題のヴェルザスカの谷のローマ橋(めがね橋)ですが、リザ・テツナーの小説「黒い兄弟」や「ロミオの青い空」などで有名なソノーニョ(Sonogno)の村をショートストーリーで取り上げた私の他のページでも、すでにさらりとご紹介しています。
ヴェルザスカ川の写真
5 その場所は、ソノーニョの村へ行く途中にラヴェルテッツォ (Lavertezzo) という村があり、そのバス停のすぐそばにあります。
この橋はバナー写真でも見られるように川の真ん中にある大きな岩を利用して架けた石造りの橋で大変均整の取れたものです。
橋は17世紀に建てられた大変古いもので、この地以外にもイントラーニャなどにもこのような石造りのローマ橋があります。
ラヴェルテッツォ (Lavertezzo) 村の写真
6 この橋はその形状から通称 “めがね橋” とも呼ばれ大変均整がとれて美しいことから、スイスのみならずヨーロッパ各地から訪れるハイカーなどに親しまれています。
昔は、日本人観光客はほとんど見られませんでしたが、いまでは有名になり、旅行会社のツアーバスなども入ってきたりするようになりました。
ヴェルザスカの谷のローマ橋(めがね橋)の写真

7 橋の下を流れるのは激流で名にし負うヴェルザスカ川ですが、普段は言葉では言い表せないような美しいエメラルドいろをした川なのです。
ところがそれが一旦暴れだすと川床を掘り、岩を運び、そして削ります。
そのため、ここでは自然が織り成すさまざまな造形美が見られます。
ヴェルザスカ川の写真
8 また、橋の上から下を見ると、その美しさに思わず吸い込まれそうになってしまいます。
そのため現地では、この橋は跳び込み橋「ポンテ・デイ・サルティ (Ponte dei Salti)」と呼ばれています。
写真は橋の上から川をのぞき込んでいるハイカーです。
ヴェルザスカの谷のローマ橋(めがね橋)の写真
9 そこには、川岸の大きな岩の上に寝そべって日光浴する人、学校の野外授業でスケッチする子供たち、碧い透明な川の中に潜り、スキューバーを楽しむ若者たち、思い思いの姿があります。
下の写真はローマ橋のメガネを通してラヴェルテッツォの村を遠望したものです。
こんな山奥ですと、日本なら橋も村の住居もほとんど木造が普通ですが、この周辺からは貴重な石材が切り出されていますので、基本はすべて石造りです。
ヴェルザスカの谷のローマ橋(めがね橋)の写真
10 橋や美しい教会、そして小さな村の中を散策したら、すぐそばにあるグロット(*)に寄ってお茶でも飲んでいきましょう。
この店のテラスから見るラヴェルテッツォの村の佇まいは絶品で、春ならピンクのツツジ、秋なら黄葉に彩られて絵葉書のように美しいです。
* グロット(Grotto)とは、ティチーノ州特有のレストランの形態で、村の中や湖岸などに多くみられる質素で素朴なレストランのことです。
ラヴェルテッツォ (Lavertezzo) 村の写真
11 この橋の付け根の裏から小さいながらとても魅力的なコリッポの村やメルゴーシアの村などへ続くミニハイキングコースもあります。
それらについてはまた別項目を立ててご紹介します。

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