聖ヨハネ教会(Temple Saint-Jean-Baptiste de Grandson)の写真

スイス、あの町、この町、グランソン

1 グランソン(Grandson)の町はヌシャーテル湖畔(Lac de Neuchâtel)にあり、イヴェルドン・レ・バン駅(Yverdon-les-Bains)からSバーンで5分程度で行かれます。
グランソン(Grandson)のマップ また、首都ベルンからは1時間40分程度で行くことができ、スイス最大級のヌシャーテル湖畔にはムルテン、アヴァンシュ、ビール、ヌーヴヴィル、パイエルンなど素敵な町がたくさんありますので、ゆっくり村や町巡りをすれば、スイスの個人旅行もより楽しいものとなるでしょう。
グランソン城の写真
2 グランソンの町ですが、今日も残念ながら、お天気はこの地方に多くみられる早春の曇天つづきで、明るい日差しがなく写真もコントラストに欠けスカッとしません。
グランソンの町について語るとき、有名なグランソンの戦いについて触れずにはいられません。
写真はグランソン町のシンボルでもあるグランソン城です。
グランソン城の写真
3 グランソン城はジュラ山脈方面に勢力を拡大してきたグランソン家によって11世紀の中ごろの1050年に築城されました。
そして15世紀には、無謀・無慈悲な君主シャルル・ブルゴーニュ豪胆公が北海から地中海までの独仏間に王国を築こうとして各地でフランス王と戦っていました。
一連の戦いはブルゴーニュ戦争と呼ばれているものですが、ブルゴーニュ豪胆公は1475年にスイスにも侵略してきてグランソンもこの戦いに巻き込まれてしまいました。
グランソン城周辺の街角の写真
そして1476年冬、シャルル豪胆公はスイス盟約者団に奪われていたグランソン城を包囲したのです。
シャルル豪胆公が大きな傭兵部隊と多くの武器を持っていることが分かると、スイス盟約者団の守備隊は落城の不安に怯えるようになりました。
スイスベルン邦は、この守備隊を援護しようと軍を編成し船でグランソンに向かいましたが、ブルゴーニュ軍の砲撃を恐れ城塞に接近することができません。 そのため船上から援軍が来ていることを身振りで城塞の中の守備隊に知らせようとしましたが、この合図を守備隊は見誤り降伏してしまいました。
その結果、守備隊の数百人が処刑されたり、吊るし首にされたのでした。
その後スイスベルン邦は巻き返しを図り、1476年、グランソン北東のコンシーズ村でブルゴーニュ群を粉砕し、さらにムルテンの戦いで勝利を決定的なものにしました。

4 グランソン城内には珍しいことに元イギリス首相ウィンストン・チャーチル愛用の車などクラシックカーがたくさん置かれています。
車好きの私には大変興味深かったのですが、一方で上記戦争により囚人が無残な拷問にあったり、吊るされていたりしたという記録を読むにつけグランソン城の中の様子についてはあまり触れたくありません。
中世の城の多くにはこのような残忍な拷問器具や拷問部屋などが展示されていますが、いつも見るのは避けています。
グランソン城周辺の街角の写真
5 写真はグランソン城周辺の街角ですが、季節的にもやっと春を迎え、しっとりとした美しさがあります。
町の中を歩いてみると、中心部には美しい洗礼者聖ヨハネ教会(Temple Saint-Jean-Baptiste de Grandson)があります。
聖ヨハネ教会が建てられたのは12世紀に遡りますが、ロマネスク芸術を駆使した歴史的にも大変価値の高い建物です。
洗礼者聖ヨハネ教会(Temple Saint-Jean-Baptiste de Grandson)の写真

6 美しい時計塔(鐘楼)を持つ瀟洒な建物で、後に数回改修されていますが、中に入ると身廊の中央部には10 個の歴史的な柱頭(Chapiteau)があります。
身廊の写真
まず最初に目に入るのは南側にある柱頭装飾(棘を抜く様子を掘った図柄)はロマネスク彫刻の特徴をよく表しています。
さまざまな苦悩に苦しむ姿を物語風にして表していますが、真ん中の人は手足がこんがらっているような体勢で、足からとげを取り除いています。
柱頭装飾の写真
柱頭装飾の写真
柱頭装飾の写真
7 中央身廊ではこれらの大きな柱がアーケードを支えています。天井や柱には美しい彫刻やおしゃれな花の絵がたくさん描かれています。
色彩、図柄とも現在でも十分通じるような素敵なアートです。
柱頭やアーチの写真
柱頭やアーチの写真
柱頭やアーチの写真
柱頭やアーチの写真
8 また、礼拝堂には墓が置かれていて、そのうしろには祭壇画が描かれています。
絵の中の石棺の上にはキリストが横たわっていて、周りには7人の人物が集まって悲しみにくれています。
死体を覆うシュラウド(Shroud)の白い布の上に裸で横たわっているキリストは腕を胸の上で組んでいます。
キリストの祭壇画の写真
北側礼拝堂の東壁には聖体のキリストが描かれています。
キリスト聖体の写真


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