複写厳禁
樹林帯を抜けると川が流れており、写
真のような橋がかかっている。ハイリ
ゲンブルートの村へ行くには、ここで
対岸に渡る。橋を渡れば両側に民家の
立ち並ぶ道を行き、やがて大きなホテ
ルも建つ村のセンターに出る。
写真の花は学名でアキレア・ミレフォ
リウムと呼ばれ、和名ではノコギリソ
ウである。この仲間は多く、花の色も
白だけでなくピンク色もある。
和名の由来は、葉の縁が鋸の歯ように
ギザギザしていることによる。
時間に余裕があれば、このコースは長
いので美しい高山植物を観賞しながら
のんびり下ってくるとよい。道標が出
てきたら、常にハイリゲンブルートの
方へ下っていけばよいから安心だ。
この辺りには掘立小屋も見えてくる。
写真は目標にしてきたハイリゲンブル
ートの教会である。ただし、これは朝
早くにグロスグロックナーをバックに
撮ったものであるから、上からくる場
合は、見える景色が逆になる。ここを
歩くときはぜひ晴れて欲しいものだ。
フランツ・ヨーゼフス・ヘーエの展望
台よりオーストリア最高峰のグロスグ
ロックナーと、パステルツェ氷河を眺
める。ここは天気がよくないと何も見
えないことが多いので、可能なら3泊
ぐらいの滞在をお奨めする。
素晴らしい景色を堪能したら、早速、
ハイリゲンブルートヘ向かって歩き始
めよう。氷河の末端近くに降りて歩き
始めるのだが、ケーブルカーもある。
歩く場合は展望台の手すりに設置され
た道標に従って階段を下りていく。
皇帝フランツ・ヨーゼフが訪れたこと
もあるパステルツェ氷河は、地球温暖
化により、写真のように大幅に後退し
てしまった。年代別に氷河の後退状況
を記したパネルがあり、見ると、その
激しさに、驚きより危機感を覚える。
氷河が溶けてできた水たまりや、たく
さんの小さな池を避けながら、荒れた
ターミナルモレーンの上の道を行く。
ここは緩い下り一方のコースなので、
ガスっていたり、天候が悪い日でない
限り、危ないところはほとんどない。
ガレた道を下ってくると、次第に氷河
が隠れて見えなくなってくる。
このコースは本当は下から登ってくる
と、最後に素晴らしい景色が見られる
のだが、やはり早くメインの氷河を見
たいから、下りに使ってしまう。
要所、要所にはこのような道標が設け
られているので、道に迷うことはない。
道標では常にハイリゲンブルートの方
向にコース取りをしていけばよい。
向かって左手の山の中腹には、ヨーゼ
フス・ヘーへ続く道路も見えてくる。
ところどころモレーンで小山に盛り上
がったアップダウンのコースを何度か
越えていく。それまでほとんど植物が
生えていなかったが、この辺りから黄
色いアンティリスなど草丈の低い高山
植物が見られるようになってくる。
このコースを歩いている時期は7月中
旬である。この時期は一番お天気も安
定している。アルペンマーガレット、
ナデシコ、アンティリスなどが咲く歩
きやすい道を行く。コースの難点はダ
ラダラとちょっと長いことだろう。
氷河の溶けた水が溜まって出来たもの
なので、決してきれいとはいえないが、
途中に小さな湖が二つある。景色も綺
麗、空気も爽やかなので、ここらで小
休止していくとよい。お天気の良い日
にはたくさんのハイカーがいる。
このシュタウゼーのちょうど向こう側
から山の斜面を越えてきたところであ
る。左上にまだグロスグロックナーの
頭がわずかに見えている。もう疲れた
方、時間の無い方は、ここから上のグ
ロックナーハウスへ戻ってもよい。
ここから先はダラダラと単調な山道が
続く。道幅は狭いが砕石混じりの歩き
やすい道は、やがて草道に変わり、針
葉樹林帯の中に入っていく。
左上の方に見えていたバス通りも見え
なくなり、ほとんど展望はなくなる。
森林限界の下に入るや、それまでの美
しい景色と引き換えに、足元にはいろ
とりどりの高山植物が目立ってくる。
写真は濃いピンクのナデシコである。
ところどころ林の切れた日当たりのよ
い場所に、可憐な花を咲かせている。
これは比較的珍しく、ステマカンサ・
ラポンティカというキク科の花である。
草丈は非常に大きく、人間の背丈を超
えるものもある。花が咲けば花と分か
るのだが、蕾のうちは何だか不気味な
木と勘違いしてしまいそうだ。
ハイリゲンブルートの教会の塔が大き
く見えてきたら、村はもうすぐ目の前
だ。この写真は日の出を待って、教会
を反対側から撮っているが、このコー
スでは教会を目印に下ってくればよい
から迷うことはなく安心だ。
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