オーバーグルグルからホーエ・ムートの写真

オーバーグルグルからホーエ・ムート

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*写真は複数回訪ねた際に撮ったものを使用しています。

1 このハイキングのスタート地点となるオーバーグルグル(Obergurgl)は、オーストリアのチロル州にあるエッツタール(Ötztal)の一番奥に位置するとてものどかな村です。
アプローチとしては、スイスからチロルに入りザンクトアントン(St.Anton)から行くとするとインスブルック方向に向かう電車に乗り、エッツタール駅で下車します。
そして、駅前広場の左側にバス乗り場がありますので、ここからオーバーグルグル行きのバスに乗り所要時間は1時間半くらいです。
オーバーグルグル行のバスの写真
2 私が初めてこの地を訪ねたのは1987年で、その頃は日本人ハイカーは全く見かけませんでしたが、最近は旅行会社が催行するツアー客がかなり入ってきていますので大分賑やかになってきました。
バスは途中、小さいながらもいくつかの美しい村を経由し、1時間10分ほどでこのタールでは一番にぎやかな町セルデン(Sölden)に到着します。
そしてバスはさらに進み、15分位で終点のオーバーグルグルに到着します。
【 テレキャビンから見たオーバーグルグル俯瞰図 】
オーバーグルグルの村を俯瞰した写真
3 下の写真はオーバーグルグルの入り口に建つ美しい教会です。
オーバーグルグル村を俯瞰した上の写真では、中央に教会の塔の一部がわずかに小さく見え、その手前の茶色いシャレーがホテル・エーデルワイスです。
テレキャビン乗り場はすぐ右手にあります。
オーバーグルグルの教会の写真
4 バスは教会前の銀色をした気球モニュメントの前で停まりますが、この奇妙なモニュメントは昔、スイスの科学者・アウグスト・ピカール(Auguste Piccard)が乗った気球がここの氷河に不時着したことを記念して造られたものです。
そして、この事件を契機としてオーバーグルグルという奇妙な村の名も、人々に多く知られるようになりました。
気球モニュメントの写真
5 下の写真に写る銅像は「UNSERER HEIMAT DEN PIONIEREN=わが故郷の地を切り開いた先駆者を称える像」です。
今日は休日ですので、銅像の後ろにあるレストラン・カフェでは、おじさんたちがテラスで楽器を演奏して皆を楽しませてくれています。
「UNSERER HEIMAT DEN PIONIEREN=わが故郷の地を切り開いた先駆者を称える像」の写真
テラスで楽器を演奏する人たちの写真
6 ハイキングはオーバーグルグルからホーエムート(Hohe Mut 2,653m)に上がってから歩き始めるのですが、そのテレキャビン乗り場は、大きな四つ星ホテル・エーデルワイスの前を通り、歩いて3分ぐらい行った左手にあります。
(上のオーバーグルグル村俯瞰図参照)
ここでテレキャビンに乗り、さらに次のブルックボーデン(Bruggboden)でロープウェイに乗り換えて上にあがります。
オーバーグルグルからホーエ・ムートのマップ
ホーエームートバーンのゴンドラ乗場の写真
7 右手前に雪をいだいた山を仰ぎながらキャビンは高度をぐんぐん増し、やがて前方に、それまで隠れて見えなかったさらに美しい白い雪を抱いた山々が見えてきます。
下の写真はホーエ・ムート・アルムのヒュッテ(左)とテレキャビン駅(右)です。
ホーエ・ムートのヒュッテとテレキャビン駅
8 そしてホーエムート駅で降りて、レストラン併設の山小屋のテラスに上ると、正面には白い峰々とロートモース氷河(Rotmoos ferner)、左にガイスベルク氷河(Gaisberg ferner)が素晴らしい姿を見せてくれます。
ただ、この地を訪れる度に氷河が大きく後退してしまっている様子を見るにつけ、惜しいという気持ち以上に、温暖化への危機感をひしひしと感じます。

9 また目を下に転じれば、美しい緑の牧草地に可愛らしい羊さんがたくさん放牧されています。
ただ、今日はもうお昼に近い時間なので山にかかる雲も多くなってきました。
そんなわけで上の写真はチロル自慢の青空がちょっとの間だけ現れた瞬間です。それでも眼前に流れる二つの氷河は迫力があります。
羊の写真
10 この衝立のように連なる山々の向こう側は、もうイタリアです。羊さんたちは夏にイタリアから山を越えてこちらにやってきて、晩秋とともにまたイタリアへ帰っていきます。
レストランで一休みし素晴らしい景色を堪能したらテラス前から早速歩き始めましょう。
ハイカーがそれほど多いというところではありませんが、晴れていれば、前方に延びるハイキングコースが見渡せるので不安はありません。
ハイキングの写真
ハイキングの写真
11 氷河を正面に見ながら緩い馬の背を下って行くと、すぐ右へ下りる道が出てきます。道標にはシェーンヴィースヒュッテまで1時間、オーバーグルグルまで1時間45分とあります。
ハイキングのショートコースですが、今回は、この分岐はパスしてしばらく直進し、鞍部となってるところまで下ります。

12 氷河がぐんぐんと近づいてきますが、さらに10分ぐらい登り返すと、素晴らしい氷河と険しい山々が眼前に見渡せる展望台に出てきますので、ぜひそこまで行って、ゆっくり素晴らしい景色を眺めていただきたいと思います。


13 ここで360°の大展望を満喫したら、“一般コース”はシェーンヴィース小屋(Schönwies Hütte)を目指して下って行きます。途中で、先ほどパスしたコースが右上から合流してきます。
“氷河コース”は、お天気が良くて山登りの経験が豊富な方はさらに奥へ進み、氷河に近づけるだけ近づいてみるのもよいでしょう。
ここから道は荒れたガレ場に変わり、真夏でもかなりの残雪がありますので十分気をつけて進みます。


14 残雪とともに、コースは雨や雪で削られ荒れてしまったのでしょう、大小の岩がゴロゴロしていて、ちょっと歩きにくいです。
ただ、ところどころの岩陰などにはベルフラワー、シレネアカウリス、フィールドゲンチアンなど美しい花々が点々と咲いています。
ここでは厳しい自然環境に耐えるため矮小化した植物が多いですが、花の色はどれも濃く大変美しいです。

15 写真でも見られるように氷河がこんなに後退してしまっています。私はこのコースが好きで数年置きに来ていますが、その都度見る氷河の後退には驚かされます。


16 氷河の末端近くまできたら今来た道を少し戻り、シェーンヴィース小屋(Schönwies Hütte)へと下る道をいきます。
写真のようにコース上には真夏でも残雪が結構あります。また背丈の低い草が生えている高度まで下がってくるとたくさんの羊さんたちが草を食んでいます。


17 氷河が解けて流れる小川に沿ってロートモースのタール(谷)を下って行きます。
川の流れる下流の方、写真の真ん中辺りには池が小さく見えています。
この川沿いの道をずっと下っていきます。

18 河原に降りれば写真のような幅広い砂利道です。比較的緩い下り坂ですから安全です。
ところどころに、吹く風に揺れるワタスゲの美しい群落があります。

19 やがて前方にシェーンヴィース小屋が見えてきますが、帰りのバスの時間を考慮に入れ、時間的余裕があったら寄っていくとよいでしょう。ここでは食事や喫茶がとれます。

20 急ぐ場合は小屋には寄らないで、10数年前に小屋の手前に池ができましたので、湖岸をショートカットして歩きやすい広い道を下ります。
この辺りからいま下ってきた方向を振り返ると迫力ある山々が堂々と屹立しています。
ただ、今回もあっという間に雲が多くなり、青い空をバックに氷河を抱くクリアな山の写真が撮れませんでした。


21 そしてさらに15分くらい歩けば、先ほど乗り換えたブルックボーデンのキャビン駅前へと出てきます。
ここで再びキャビンに乗って下っても良いのですが、歩いてもオーバーグルグルまでは20分程度ですから、元気で時間があったらぜひ歩いて下ってみましょう。この途中でもたくさんのお花に出会うことができますので…。

22 黄色いキンポウゲや、ライトブルーの美しいワスレナグサなどが咲き乱れるのどかな道を下ってくると、スタート地点のオーバーグルグルの美しい村がすぐ下に見えてきます。
村へ下りたらカフェで一服したり教会などを見学していきましょう。

23 所要時間等
◆ 所要時間は、“一般コース” は小休止を入れて2~3時間、“氷河コース” は +1時間くらいです。
(注)エッツタール駅へ帰るバス便は少ないので帰りのバス時刻表は事前に確認しておいてください。
◆ 編集履歴・1995年・・・HPでの初稿 ・2000年・・・一部修正 ・2008年・・・一部修正 ・2010年・・・一部修正 ・2012年・・・リニューアル 
・2023年・・・レスポンシブ対応にリニューアル(さらにロートモース氷河のすぐ近くまで行くコ-スを補足)

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