私がヨーロッパアルプスに惹かれ出したのは、恩師である近藤 等先生の影響です。その先生も残念ながら2015年に亡くなられてしまいました。
先生の名は、山が好きな方なら知らない人がいないほど有名ですから、ここでは詳しい紹介は避けますが、W大学の名誉教授(仏文学者)であるとともに、モン・ブラン、アイガー、マッターホルンはもちろんのこと、アルプス120余峰に登られた有名なアルピニストでもありました。
また、先生のご著書には『アルプスの蒼い空に』『アルプス 山と人と文学』など多数ありますが、
2010年3月には『わが回想のアルプス』を東京新聞より出版されています。
今のように小さく、軽いデジタルカメラやスマホなどがない時代でしたから、登山をしながらの撮影は、さぞ大変だったろう、と推測されますが、フィルムカメラで撮られた貴重な写真がたくさん掲載されています。
また、書籍としては出版されませんでしたが、シラーのウイリアム・テル戯曲の評論と解説や、ゲ
ーテがスイスを抜けてイタリアに旅した時の随筆などに触れたレポート、山岳画家セガンティー二への思いには、大変興味深いものがありました。
授業では主に仏語を教えていただきましたが、私が仏語を好きになったのも先生の影響でした。
先生は毎年のように、冬はスキーに、夏は登山にヨーロッパアルプスに出かけられていましたが、お帰りになると、折に触れアルプスに関する興味あるお話をしてくださいました。そんなとき、先生がそんなに毎年毎年行かれるアルプスって、一体何が魅力なのだろう? と思いましたが、結局、今は自分も同じようなことをしています。
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