ド、ドーン、氷河の崩れる音に

アルプスと山登りが大好きな方なら一度は読んだことがあるだろうエドワード・ウィンパーの「アルプス登攀記」の冒頭に、こんな記述があります。
彼が初めてアルプスへの旅に出る前のことですが、「パリでは2度登攀をした」 と。
パリにはそんな高い山がありませんので、一瞬、どこへ登ったのかな? と考えてしまいましたが、「最初はカルティエ・ラタンにある友人の家の7階まで登った」 ということであり、「2度目はノートルダム寺院の塔の手すり際まで登った」ということでした。
「なるほど、そういうことか」と、彼なりのユーモアある綴り方に納得です。
そして、その書き出しの数行後には、スイスに入り、ガシュテルンタールの奥へ氷河を覗きにいき、巨大な氷塊がいきなり崩れ落ちてきて、あわてて逃げ出した様子が臨場感溢れるタッチで書かれています。 30年ほど前にこの登攀記の完訳版を読んで以来、私もこのタールへは何度も行っていますが、氷河の後退には驚ろかせられます。

氷河へは、写真より、もっと右の方から登っていく。 先のヒュッテへは青いコース。