キク科アザミ属にはいろいろな花がありますが、写真(下)の花もアザミ属です。
学名ではキルシウム・エリオフォルム(Cirsium eriophorum)と呼ばれ、大きいものは人間の背丈ほどにもなります。
この写真の花も特大で、標高1500mくらいの草原のあちらこちらに、ひときわ高く突き出して咲いています。
この花のことを知っているか、あるいは花が咲いている時なら、これは花だな、とすぐ分かるのですが、つぼみのうちはトゲのついた白い大きな球状(注1)のものが、数本に枝分かれした茎頂についているだけですから、一体、何だろう? と、びっくりしてしまうことでしょう。
注1:この球状のものは、大きなものでは径が7~8cmにもなります。
さらに近寄ってよく見れば、葉が羽状に全裂し、小葉は針のように細く、先端には刺針までついているのですから、その不気味さには度肝を抜かれます。
花の色はパープルレッドから濃いブルーで、総包(注2)には、くもの巣状の白い綿毛が見られます。
やや珍しい花ですが、スイスやオーストリアのチロルなどで見られますので、ぜひ探してみてください。
注2:総包とは、キクなどに見られる花序全体を基部で包む小さいうろこ状の包の集まりです。
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