スイスやチロル地方には未だガイドブックなどにも紹介されていなかったり、ツアーでもほとんど訪れない素晴らしいハイキングコースがたくさんあります。
このタール(谷)には、太古に氷河が流れていたと言われ、今でも本格的な夏になるまでは深い雪が残っています。
そして残雪が融け始めるころ、今度は待ちきれなかったかのように、タールに沿って色とりどりの花が川のようになって流れます。
写真からも見て取れるように、雪が降ったように真っ白い花を一面に咲かせているのは、キンポウゲ科のラヌンクルス・アコニティフォリウスの群生です。
また、明るい水色の花は、和名ではワスレナグサと呼ばれるミオソティス、黄色い花はラヌンクルス・アクリスとトゥロリウス、それにいわゆるタンポポのタラクサクムです。
そのほかにもアルケミラ、ピンク色のシレネ・ディオイカなどが加わり、数百メートルもの大群落をつくって咲き乱れています。
その花の豊富なこととスケールの大きさは、最近人気が出てきたミューレン辺りのフラワートレイルなどと比較しても決して負けていません。
スイスやチロルなどで手軽に瑞々しい花をたくさん観賞するには、このハイキングコースに限らず、6月下旬から7月中旬くらいに訪ねるのがベストです。