スイスのみならずヨーロッパアルプスには野生のいろいろなサクラソウ(Primula)が生育しています。
花の色がピンク、黄色、白、紫、それに花冠や葉の形状が違うもの、あるいは花冠や葉のつき方が違うものなど、その仲間はとてもたくさんあります。
下の写真のサクラソウは、学名ではプリムラ・ミニマ(Primula minima)と呼ばれるものです。
茎がほとんどなく、短い花柄の先に可愛らしい紫がかったピンクの花を咲かせます。
写真を見ると分かりますが、花弁の裂け方が普通のサクラソウよりずっと深いのが確認できるのでは、と思います。
ヨーロッパでは主に、東部、南東アルプスの標高2000m~3000mの高地に生育しますが、この写真は、初夏にオーストリアのグロースグロックナー近隣の山で撮ったものです。
種小名の「minima」は、“最小の” という意味ですから、「最も小さなサクラソウ」ということになります。
そのため、英名では「Least Primrose」と呼ばれています。
そして、何よりもこのサクラソウの特徴は、その奇妙な葉の形状にあります。
上の写真でも確認できるように、肉厚で、光沢がある濃い緑色した葉が小さなロゼット型(注)を形成しています。
そして葉の先端には鋭い鋸歯がつきます。
写真は、すぐ側まで近づいて接写してますから、細かな部分まで分かりますが、ちょっと見ただけでは気がつかないかも知れません。
数あるサクラソウの中でも、ちょっと珍しい葉の形ですね。
(注)ロゼット・・・根出葉が放射状に並ぶ葉の形状のこと。
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