スイスやフランス、オーストリアなどをハイキングしていて、小川や小さな滝の縁で、写真のような花をご覧になった方も多いと思います。
どちらも和名では「ムシトリスミレ」と呼ばれるもので、タヌキモ科ムシトリスミレ属の花です。
学名では、下の白い花がピングイクラ・アルピナ(学名Pinguicula alpina)で、パープルいろの花が、ピングイクラ・ウルガリス(学名Pinguicula vulgaris)です。
“ムシトリ”という名がついているから、たぶんムシを捕るのだろう、ということは容易に想像がつくのですが、それでは一体どうやって捕るのか?という疑問がわいてきます。
食虫植物といわれるものには、このムシトリスミレのほかにも、モウセンゴケ属や、ウツボカズラ属などに、いろいろとあります。
この花のムシを捕る仕組みは、花の中に昆虫を誘き寄せ、飛び込んできたら、花を閉じて食べてしまう、というものではありません。
葉を試しにちょっと触ってみれば分かりますが、葉や花茎の表面が粘液でベトベトしていて、そこにムシがとまると、くっついて離れることが出来なくなってしまうのです。
そして、葉などから消化酵素を分泌して、獲物を消化し、自らの体内に栄養分として取り込むのです。
ただ、ムシが捕れないからといって、生きていけなくなり、枯れてしまうというわけではありません。
生きるためのメインの活動は光合成で、“ムシトリ”は補助装置みたいなものです。
車でいえば、ハイブリット車みたいなものかも知れませんね。
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