"ウルスリのすず"  "大きな雪" などで知られる


Illustrated by Misakott

カリジェの故郷・トゥルンを訪ねて


トゥルンの駅

トゥルンへは、クールからアンデルマット方向へ向かう普通電車に乗り、約1時間で行くことができる。氷河特急が走るコースと同じ道を行くのであるが、特急は停まらないので案外距離が短い割りに所要時間は結構かかる。

のんびりと車窓から左右の、のどかな景色を眺めていると、やがてここが駅?と疑ってしまうような小さな駅に着く。乗降客はほとんどなく、駅前は閑散としており、わずかに道路の向かい側に教会が見えるだけである。

それでも駅前の道は、街道筋にあたるのでさすがに交通量は多く、狭い街中も大型の車がかなりのスピードで飛ばして走っている。

この年(2002年)は、1902年生まれのスイスの画家、カリジェの100周年ということで前年から本年にかけてスイス各地でいろいろな催しものが開かれている。そんな記念すべき年なので、さぞ観光客も多いだろうなと思い、久しぶりにこの地を訪れてみた。

しかし観光客らしい人は、ヨーロッパ系の女性がただ一人、やはり同時期にクールの美術館で開催されている特別展に行ってしまっているのだろう。


カリジェの絵がたくさんあるスルシルヴァン美術館

駅を降りて前の街道を右に行けば小学校があり、その先を左に折れて緩い坂を登っていくと、カリジェのアトリエがある。

また、街道を左に行けば右側にホテルがあり、さらに小さな銀行を兼ねた観光案内所がある。
ここは専門の案内所ではないので、それだけ訪ねる人も多くはないのだろう。もっともここは街道筋なので、電車で来るより車で来て、さぁ~っと見て帰ってしまうのかもしれない。

一方、街道の左手にはレストランや雑貨屋、少し入ったところにカリジェの生家がある。そして、その先の右手にカリジェの絵をたくさん展示してあるスルシルヴァン美術館があり、右手の丘の上には可愛らしい教会が村を見下ろしている。

さすがにこの村にはカリジェの絵が多い。カリジェが通った学校や街道沿いの雑貨屋やレストランなどの壁にはたくさんの壁画が描かれている。

右の絵は、作品「フルリーナと山の鳥」に出てくる主人公のフルリーナであり、雑貨屋さんの建物の壁に描かれている。

また、ここに限らずグラウビュンデン州が生んだ画家ということで、この地方にはカリジェの絵がホテルやレストランに多く飾られている。

その中でもお奨めは、クールにあるホテル・ドゥ・シュテルン。カリジェの絵がたくさん飾られており、私の大好きなホテルの一つであり、昔からクールで泊まるときはいつもここに決めている。

 

上の2枚の絵は、私がよく泊まるアローザのホテルに飾られているものである。

* トゥルンのお奨め度・・・カリジェが好きで好きでたまらない人や、絵本や絵が好きな人にとっては魅力的な村であるが、そうでない人にとっては、他に見所が何もないところなので、短いスイスの滞在期間のなか、わざわざ時間をかけて訪れると期待はずれに終わると思われる。

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