ルツェルンの町を訪ねて

ルツェルンは、チューリッヒから電車で50分弱で行くことができる大変美しい町である。
町の中をちょっと歩き回るだけで、旧市街を始めとし、屋根つきの橋で有名なカペル橋やシュプロイヤー橋、ムゼック城壁など中世の面影を色濃く残した歴史ある建造物をいたるところで見ることができる。

この町は、スイスではヌシャーテル湖に次いで大きいと言われるフィーアバルトシュテッテ湖(四森州湖)を抱え、町中を満々と水を湛えたロイス川がとうとうと流れる。

そして、町の中のウォーキングだけでなく、ルツェルン駅前にある船着場から遊覧船に乗れば、絵のような美しい町の景色を海上から見渡すことができる。

また、この遊覧船を利用して近くにあるリギ山やピラトゥス山へ行ってみるのもよいだろう。船はいくつかの湖畔の小さな町に寄りながら、ちょっとしたミニクルーズが楽しめる。素敵な建物が建つ岸辺に、接岸・離岸する時の景色はまるでおとぎの国の世界のようである。

そして時間があったら、ぜひリギ山やピラトゥス山でミニハイキングを楽しもう。

   
 

ロイス川には有名な屋根つき橋のカペル橋とシュプロイヤー橋がかかっている。カペル橋は1300年代前半に完成し、木造橋ではヨーロッパ最古のものといわれたが、1993年に残念ながら消失、今あるのは建て替えられたものである。 屋根の梁には中世の板絵が飾られ、こちらは消失を免れたという。

晴れた日には、橋の両側に目にまぶしいほどの色とりどりの花が咲き、水辺には白鳥がのんびりと浮かんでいる。後方には美しい形をしたピラトゥス山が位置し、こんな素敵な景色を目の当たりにすると、思わずカメラのシャッターをきったり、スケッチをしたくなってしまうのはきっと私だけではないだろう。

また、カペル橋の人気に隠れて見落とされそうだが、もう少し下流にはもう一つの屋根つき橋:シュプロイヤー橋がかかっている。こちらの橋にも同じように板絵が飾られている。 

ここは川幅がずっと狭くなっているので、橋の長さも短いが、その分ロイス川の水の流れは一段と激しい。

  
     

ゼー橋から左手の湖畔を見れば、美しい尖塔を二本持つホーフ教会が高く聳える。建物は火災などで何度か建て直され、ロマネスク様式、ゴシック様式と移り変わってきているが、尖塔を除き今はルネサンス様式と言われる。

特に、4950本あるといわれるこの教会のパイプオルガンの調べは感動もの、コンサートスケジュールに合わせてぜひ一度は訪ねて欲しいお奨めポイントである。

また、ホーフ教会とは反対側になるが、カペル橋の付け根にあるスイス最古のバロック様式教会のイエズス教会もロココの華麗な装飾が美しい。

一方旧市街を歩いてみれば、いたるところの建物に写真のようなフレスコ画が描かれている。ワインマルクト広場、ヒルシエン広場で見られるフレスコ画は圧巻で、何百年も前のストリートアートに思わず感動する。

中でも、「カナの婚礼」、「騎士と少女」、ホテル・デ・バランスの壁画などは見逃せないポイントだ。

そして時間があったらぜひムゼック城壁にも登ってみてみよう。階段を登るのがちょっときついけれど、美しいフィーヤヴァルトシュテッテ湖や旧市街、ピラトゥス山が一望できるから・・・。

また、絵の好きな人はピカソ美術館に寄るのも忘れないように。それから食べるところでは、カペル橋の近くにあるイタリア料理レストラン 「モストローズ」 のピザはすごーく美味しいのでお奨めである。ここはロケーションも絶好で、値段も手ごろ、いつも大勢のお客さんでにぎわっている。

ここルツェルンでは、7月の末ごろに湖上祭が開かれ、真っ暗な夜空にたくさんの花火が打ち上げられ、真夏の夜の一大ページェントを楽しむことができる。いろいろな仕掛け花火や、湖上にこぼれるように落ちる光のかけらはとても幻想的で、ここでなければ味わえないような美しさである。

こんな素晴らしい一夜であるから、この日はさすがに午後から皆場所取りで、見晴らしのよい湖岸のホテルやレストランはいっぱいだ。

レーヴェン広場の先には、フランス革命のさなかに命を掛けて勇敢に戦ったスイス人の傭兵をなぞらえた瀕死のライオン像がある。さらにその奥には氷河公園がある。

右の絵はレーヴェン広場の近くにあるシャレータイプの素敵なスイス料理レストラン:レストラン・オールド・スイスハウスである。このレストランは私の大好きなお店の一つであり、値段もそれほど高くなくチーズフォンデュや魚料理もある。

ここには日本語メニューもおいてあり、注文に困ることはないだろう。それに何よりも店員さんの応対が気持ちよい。デザートにはぜひウォッカ入りシトロンソルベをお奨めす。