スイスの写真

アルプスの花たちとの会話 (1)  “涼風、そよそよと”

スイスには数え切れないほどたくさんの湖があります。
レマン湖やヌシャーテル湖、チューリッヒ湖などスイスを代表するような大きな湖がある一方、山上には名もつかぬ池のような小さな湖が数知れません。初夏のスイスで、雪が融けたばかりの湖のほとりには美しくて瑞々しい高山植物がたくさん咲きます。
ラヌンクルス・クエフェリは純白の可憐な花を一面に咲かせて地の色となり、ヴィオラやエンチアン、プリムラは目の覚めるような鮮やかな青やピンクで、そっと色を添えます。
そして氷河を渡ってやってきた涼風 (すずかぜ) が辺りをすっとかすめると、たおやかな花びらは微かに戦ぎ、湖面に映った白い山陰は幻だったかのように消失していきます。
毎年毎年スイスを訪れ、わざわざ喘ぎながら高い山に登って可憐な花々に会いに行くのも、心に安らぎを与えてくれるこんな一瞬 (ひととき) があるからかも知れません。