ガスの切れ間に姿を現したモンフォール小屋

ヴェルビエにあるモンフォール小屋へ行くにはマルティーニから電車でサンブランシェを経由して、ル・シャーブル駅へ行く。
さらにここでPTTバスに乗り換え、ヴェルビエまで行き、ゆるい坂道を5分ほど登ると、リュイネット行きのテレキャビン駅に着く。
(ル・シャーブル駅からヴェルビエまでテレキャビンが建設されたが、料金が高くてちょっともったいない)

リュイネットまではキャビンで12~13分で着くので、ここからさらにレ・ザトラまでキャビンに乗り、駅を降りたらモンフォール小屋を目指して歩き始めよう。左の地図では登り坂のように見えるが、ほとんど下りで、向こう側の谷間におりるように標高差で300メートル弱下る。
(注:リュイネットからレ・ザトラ行きのキャビンは、よく運休しているのでその場合は、赤の破線に沿ってラ・ショーへ行く)

今日は運悪く、レ・ザトラ行きのキャビンが運行休止しているので、ちょっときついが逆コースを行くことにする。車も通れる広い車道をラ・ショーへ向かって歩き始める。
ここはバスも通っている。右手の谷の向こう側には、モンブラン山群が大変美しい。この車道をそのまま道なりに行っても良いが、左の斜面を登っていくハイキングコースを行くと直接小屋へ行くことができる。  

道が広くて、ほとんどフラットなので辺りをキョロキョロしながら歩いていても危険はない。右は雪をかぶった美しい山々、左には美しい高山植物が咲き乱れる。
そして空には虹色の雲が浮かんでいる。

今日は左手に登るハイキングコースへ入らないで車道を行き、ここかしこにある「ビス」を楽しみながら行くことにする。
「ビス」とは、灌漑用の小さな運河のことであるが、ここは晴れの日が多く、乾燥するのでこのような小川がたくさん作られているという。写真のように細い道に沿って、たくさんの用水路が掘られている。水は冷たく透き通るように澄んでいる。

40分ぐらい歩くと、ラ・ショーのテレキャビン駅が前方に見えてくる。駅前は広場になっており、大勢の人たちが家族づれでミニハイクを楽しみにきている。気持ちが良いから、この近くの丘で高山植物に囲まれて、ぜひ一休みをしていこう。
ここからは大型のテレキャビンが発着しており、モン・ジュレを経由して、モン・フォール頂上(3300M)まで上がることができる。1時間半ぐらいで行ってこれるので、ぜひ360度の大パノラマを満喫してこよう。


さてモンフォール小屋へは、ラ・ショーのテレキャビン駅横の草原を横切るように登っていく。晴れていれば小屋は小さいながら、ずっと前方の小山の上に見えているので迷うことはない。
標高差も220Mくらいのクライムだ。小屋は石づくりのしっかりした建物である。ここで一休みしたら、右手に衝立てのようにそびえる、モン・ジュレ山とモン・フォール山を見ながらレ・ザトラに向けて斜面を斜めに登っていく。森林限界はとうに過ぎているので、背の低い草と高山植物しか生えていない。


ガスさえ出ていなければ標高差も300Mくらいの登りで、道もガレキ地ながら歩きやすいので安心だ。先ほど休んだ小屋がはるか下の方に小さく見える。2時間ぐらい歩くとレ・ザトラに着く。午後になってキャビンが運転再開していた。

レ・ザトラからリュイネットへ下るハイキング道もあるが、ここはテレキャビンでリュイネットまで下り、さらにヴェルビエまで下りてしまおう。そして美しいヴェルビエの町をゆっくり散策する。レ・ザトラからリュイネットまでキャビンで下りて、リュイネットからヴェルビエまで歩いて下るような、いろいろなメニューが考えられるが、全コース合計で8時間近くになるのであまり無理をしない方がよいだろう。

このコースはテレキャビンさえ動いていれば、レ・ザトラからモンフォール小屋を経由して下りてきた方が全然楽だし、景色も十分楽しめる。
コースタイムとしては、リュイネットからモンフォール小屋を経由してレ・ザトラまで、ゆっくり歩いても5時間みておけば十分である。


ヴェルビエはフランス語圏で、明るく大変美しい町である。シャレ‐型のホテルや家いえがきれいに並べられ、それぞれの窓辺には美しい花がこぼれるように飾られている。
テレキャビンから眼下に見る町もまるで箱庭のようだ。


ここは人気のリゾート地として、スイスのみならず、フランスあたりからも多くの避暑客が訪れる。
日本ではあまり有名ではないが、ぜひ一度は訪れて欲しい町である。

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注:VTR画像を静止画として利用しているので、画質がおちています。ご了承願います。

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