十字に見守られたレッチェンリュッケ

今年(2013年)の夏は格別に暑い日が続いていますが、さすがにそろそろ峠を越したようです。日が昇る時間や日の沈む時間が、いっときとはずいぶん変わってきて、朝夕の吹く風にも、なんとなく秋の訪れが感じられるようになりました。
下の写真はスイスのレッチェンタールの奥深くにあるアーネンヒュッテから見たレッチェンリュッケです。V字型に切れ込んだ底部からは荒々しいラング氷河が流れ落ち、その右側には、奥から手前へとサッテルホルンからビーチホルンまで数々の名峰が連なります。ここレッチェンタールは今でこそかなりのハイカーが入るようになりましたが、私が最初に訪ねた昭和40年代後半は、まさに“秘境”という言葉がぴったりな、静かで素朴な村が点在する谷でした。また、この谷には絶景のトレッキングコースが数多くありますが、圧巻は、青銅器、鉄器時代に、既に人たちが峠越えしてカンデルシュテーク方面に往来していた重要ルートのレッチェンパス越えです。(以前、このサイトのバナー写真として使っていたところ。)下の写真:レッチェンリュッケの左の棚の上にはホランディアヒュッテがちょこんと乗っているのが肉眼でも確認できます。