スイスではただ山に登るだけでなく

ヨーロッパアルプスの高山植物について語るとき、その植物の生育する土壌や地質などのことを抜きにしてはできません。 ですから、高山植物を研究するということは、とりもなおさず、それらのベースとなっている土壌や地質についても、併せていろいろと調べなければならないのです。
幸いスイスを始めとしたヨーロッパアルプスの地形や地質などについては、国内外の先人たちが、これまでにいろいろな研究成果を発表してくれていますので、後に続く者としては大変助かります。
下の写真はスイスの中央部にあり、UNESCO 世界自然遺産にも登録されているサルドーナです。ここへ行くにはアプローチが非常に悪いし、ティチーノ州にあるモンテ・サンジョルジオ遺産と同様に、華やかさがなく、比較的ニッチな分野での世界遺産ですから、わざわざ訪れる日本人観光客は、ほんの数えるほどです。
しかし、ヨーロッパアルプス全域にわたる正確な「高山植物図鑑」を作るためには、広範囲のデータを収集しなければなりません。いまではプレートテクトニス理論で説明される、この新しい地層の上に古い地層が乗り上げるという逆転現象の場所は、植生にどのような影響を与えたのだろうか?という興味心から、私は数回訪ねています。

ただ歩くだけでなく、山登りには面白いことがいろいろあって・・・。