“ホームページ自慢病”という病

もう10年くらい前のことになりますが、グリンデルワルトの駅前にある小さな郵便局の前で、シニアと思しき人が憔悴し切った様子で、寝転がっていました。
たまたま側を通りかかった私は、どうしたのだろう、と心配になって声をかけてみますと、"毎日、ハイキングコースを2箇所ずつ歩いているので疲れきってしまい、ちょっと横になっているんです"という返事でした。
そして、その方は、明日もまた、どこそこへ行かなければいけない、と続けます。
余計なこととは思いましたが、"そんなに疲れるほど歩かないで、少しはのんびり観光でもしたらどうですか、スイスは山歩きだけではないんですよ"、というと、"ハイキングのホームページをつくっているので、限られた時間内で、できるだけたくさんのコースを歩かなければいけないんです。"という答えでした。
それで、"あぁ、お仕事でホームページをつくられているのですか"と聞くと、"いいえ、趣味でやっているんです" と言います。
20〜30代の若い人ならともかく、遊びのホームページづくりのために、シニアがそんなに、毎日せかせかと登って何が楽しいのだろう? ホームページの自慢病にとりつかれてしまっているのではないか、と、何か痛々しさと滑稽さを感じてしまいました。

そんなに、せかせか登ってどうするの。